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物語編

第一章 第四三話 物語編

第一章    浅い   と  深い
第四三話 利を感じ易い と 理を観じ易い

 

老師は、私の肩の上に、優しく手を置きながら、
厳しい目で、私の後ろを、ゆっくり見渡して行く。
私は脱力して、両膝を着き、老師の前に座り込んだ。

 

聞け、彼の背後に控える、霊なる守護者達よ。
更に、守護霊の高次に控える、神なる守護者達よ。
是より、天人と崇められる、守護神に苦言を呈する。

 

確かに、汝らは、如意のままに、生きている。
愛すべきに想い耽り、憎むべきを闇に投げ棄てて、
愛する物だけに囲まれ、さぞ、汝らは、楽しかろう。

 

浮かれ続ける、天界に住まいし、汝らに問う。
汝らに切り捨てられて、地下に封印されし者達を、
闇黒に幽閉されし者達を、よもや忘れておるまいな。

 

酸いも甘いも、有り難く頂けと、我は申した。
にもかからず、汝らは、甘い汁だけを吸ったため、
苦い汁だけ、舐めさせる、苦界が埋まれてしまった。

 

苦しみ惑える者は、汝らが生んだものである。
汝らの来世の姿であり、汝らの無意識に他ならぬ。
無駄に長い命に支えられ、その仕掛が見えて来ない。

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