第二章 第三十話 問答編
マサシ 四端説(シタンセツ)とは?
アキラ 孟子が説く、性善説の根本思想であり、
惻隠、羞悪、辞譲、是非という端のこと。
人間は、生まれながらに、四つの心を持ち、
それぞれ、仁、義、礼、智に磨き上げられる。
惻隠は、他を憐れむ心であり、仁の端である。
羞悪は、悪を羞じる心であり、義の端である。
辞譲は、我を控える心であり、礼の端である。
是非は、善悪を知る心であり、智の端である。
マサシ 仁(ジン)とは、どういうものですか?
アキラ 仁とは、愛を持って、得を与えること。
我に損を受け容れ、他に得を分け与える。
徳のない仁では、只の匹婦の仁に過ぎない。
他の得を奪い取り、その得を他に分け与える。
マサシ 徳(トク)とは、どういうものですか?
アキラ 徳とは、器を以って、損を容れること。
我に損を受け容れ、他に得を分け与える。
仁のない徳では、只の匹夫の勇に過ぎない。
自ら損を受け容れ、その損を他に分け与える。
マサシ 匹婦の仁(ヒップのジン)とは?
アキラ 匹婦の仁とは、余裕が有ると優しいが、
余裕が消えると、失われる優しさのこと。
情に溺れるばかり、献身に欠けているため、
たとえ、他が損をしても、自らは損をしない。
マサシ 匹夫の勇(ヒップのユウ)とは?
アキラ 匹夫の勇とは、余裕が有ると勇ましく、
余裕が消えると、損なう勇ましさのこと。
血気に逸るばかり、思慮に欠けているため、
たとえ、自らが損をしても、他は得をしない。
ゴボウ 「人類に、幸せになって欲しい」とは、
神様は、望んではいない、のでしょうか?
マコト はい、微塵たりとも、思っていません。
神様は、成長して欲しいと想っています。
何故なら、成長すれば、不幸せであろうと、
感謝しながら、前向きに生きられるからです。
逆に、そう願っているのは、悪魔です。
人類には、是非とも、幸せになって頂く。
そして、その後で、不幸せになって欲しい。
そう考え、日夜、人類の欲望を適えています。
ゴボウ 「人類が、幸せになりますように」と、
日々、熱心な宗教家や、善良なる人々が、
神に祈っていますが、どういうことですか?
マコト 確かに、善き業を、積んでいますから、
欲天には行けますが、神には会えません。
第六天魔である悪魔は、欲天の頂に坐して、
自らの傘下に、彼らが入ることを歓迎します。
ゴボウ 何が善で、何が悪か、分からなくなりました。
マコト それが、欲界の最終の関門、深淵です。
もし、恐怖心が優るなら、総てを忘れて、
この教えを、「悪魔の教え」と闇に封じて、
馴染んでいる、日常の世界に、お戻り下さい。