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物語編

第二章 第三七話 物語編

第二章     道   と   徳
第三七話 成功に導く理 と 失敗を許す器

 

この様に、彼は、段階的に、民を導いている。
放って置けば、悪くなる小人は、法をして治めて、
放って置いても、善くなる大人は、徳をして修める。

 

法の本質とは、すべき、即ち、人の理である。
小人には、損を受けないよう、得を与えることだ。
というのも、守る得がない者は、法を護らないから。

 

徳の本質とは、である、即ち、天の理である。
大人には、得を受けないよう、損を与えることだ。
というのも、拘る得がある者は、徳を求めないから。

 

法徳は、損得を越えた処で、自分に従がう者、
即ち、徳を求める段に至った者には、甚だ厳しい。
絶えず、限界まで追い詰め、心の闇を明らかにする。

 

つまり、抑え込んだ欲を、再び噴き出させて、
本当に、それが得であるのか、良く明らめさせる。
もし、諦める事ができれば、法を越えた徳に変わる。

 

彼に、虐げられているだけでは、ないですか。
そういう君を、彼は、まず、追い詰めはしない。
彼が優れているのは、こうした、不信を許す度量だ。

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