ＣＡＳＥ　才　の裏に　材

マナミ　世で使える物、才って、どういうものなの？
マサシ　才とは、人が具える徳が、世に表れたものさ。
マナミ　才が、豊かになるのは、どういうときなの？
マサシ　才を習得する際に、苦労を受け容れていくと、
　　　　人の徳が大きくなり、才能として表れるのさ。
マナミ　修練を拒んでしまうと、才能は磨かれないの？
マサシ　先天の才は、いつの間にか、使えなくなるよ。
マナミ　世に仕える者、材って、どういうものなの？
マサシ　材とは、地が備える徳が、世に現れたものさ。
マナミ　材が、豊かになるのは、どういうときなの？
マサシ　材を収得する際に、苦労を受け容れていくと、
　　　　地の徳が大きくなり、人材として現れるのさ。
マナミ　奇人を拒んでしまうと、人材は集まらないの？
マサシ　破格の才は、窮地にこそ、仕えるものなのさ。
マナミ　才にせよ、材にしても、受け容れたくない、
　　　　嫌なものを、受け容れると、使い熟なせるの？
マサシ　そうさ、徳に裏打ちされない、才は廃れるよ。
マナミ　人材の恩恵は、いつもある、訳じゃないのね。
マサシ　うん、僕だって、いつ会えるか、解らないよ。
マナミ　……………………！！

ＣＡＳＥ　才　の先に　材

サトミ　人が具える物、才って、どういうものかな？
メグミ　才とは、徳に応じて、人に得が生じるものよ。
サトミ　人の徳が小さいと、人の得も小さくなるの？
メグミ　器が小さいと、血の滲む努力を受け付けない。
サトミ　鍛練なんて、役に立たないと、逃げちゃうの？
メグミ　そうだよ、英才を望んでも、鈍才に臨むのよ。
サトミ　地が備える者、材って、どういうものかな？
メグミ　材とは、徳に応じて、地に得を招じるものよ。
サトミ　地の徳が小さいと、地の得も小さくなるの？
メグミ　器が小さいと、突き出る個性を受け付けない。
サトミ　鬼才なんて、居ては困ると、足を引っ張るの？
メグミ　そうだよ、天才を排して、凡才を拝するのよ。
サトミ　そっか、いつ得になるのか、分からない損を、
　　　　全て、受け容れるのは、大きな徳だけなのね。
メグミ　そうよ、才を磨くにせよ、材を集めるにせよ、
　　　　避けたい、嫌なものを、受け容れるしかない。
サトミ　才にしても、材にしても、苦を共にしてこそ、
　　　　はじめて、自分の役に、立ってくれるんだね。
メグミ　うふっ、それが解かれば、自然に人が集るよ。
サトミ　……………………！！

ＣＡＳＥ　才　と　徳　と　材

サトシ　空の器である、徳って、どういうものかな？
アツシ　徳とは、得にも変わるし、損にも換るものだ。
サトシ　人の徳である、才って、どういうものかな？
アツシ　才とは、人の欲が集まり、徳に変わることだ。
サトシ　地の徳である、材って、どういうものかな？
アツシ　材とは、人の才が集まり、徳に換わることだ。
サトシ　人の中で、欲が集まるほど、どうなるのかな？
アツシ　次々に、欲と欲が競って、多くの苦が表れる。
サトシ　多くの労を、乗り越えると、どうなるのかな？
アツシ　自由に、大きな得を生む、選れた才が具わる。
サトシ　地の上で、人が集まるほど、どうなるのかな？
アツシ　次々に、才と才が争って、多くの苦が現れる。
サトシ　多くの労を、受け容れると、どうなるのかな？
アツシ　自在に、大きな徳を産む、勝れた材が備わる。
サトシ　人が、才を研きながら、自らを援ける様に、
　　　　人々も、材を磨きながら、自らを助ける訳か。
アツシ　個の人も、地の人々も、実は、同じなんだよ。
サトシ　そっか、全体を考慮する、必要が有るんだね。
アツシ　ああ、それは、巡り廻って、君自らを助ける。
サトシ　……………………！！

ＣＡＳＥ　材のない才　と　才のない材

サトミ　才と材、どちらの方を、重んじるべきかな？
メグミ　どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ　個別に使える、才って、どういうものかな？
メグミ　才とは、思いのまま、個人が使えるものだよ。
サトミ　全体に仕える、材って、どういうものかな？
メグミ　材とは、在りのまま、社会が用いるものだよ。
サトミ　才を重んじて、材を軽んじると、どうなるの？
メグミ　材のない才なんて、単なる私債に過ぎないよ。
サトミ　じゃ、個が使えようと、公に仕えないのかな？
メグミ　そうよ、他に活かさない、才は鈍っていくよ。
サトミ　材を重んじて、才を軽んじると、どうなるの？
メグミ　才のない材なんて、単なる公債に過ぎないよ。
サトミ　じゃ、公に仕えようと、個が使えないのかな？
メグミ　そうよ、自ら活かせない、材は腐っていくよ。
サトミ　才だけでは、公に負わせて、債に変わるし、
　　　　材ばかりでは、個に負わせて、債に換わるの？
メグミ　そうよ、才と材、そのどちらも、必要なのよ。
サトミ　じゃ、材を研きながら、才を磨いていくの？
メグミ　うふっ、才を究めながら、材を極めていくの。
サトミ　……………………！！