物語編
第二章 第三九話 問答編
マサシ 求賢令(キュウケンレイ)とは、何ですか?
アキラ 曹操は、人材を、こよなく愛していた。
それゆえ、天下に広く、才を求めるため、
唯、才さえがあれば、出自や経歴を問わず、
あらゆる才を登用する、という布令を出した。
才さえあれば、罪を問わないどころか、
才を用いないこと、才を使わないことを、
逆に罪に問うという、徹底したものだった。
実際、医の才を隠した、華佗は獄中で死んだ。
マサシ 才(サイ)とは、どういうものですか?
アキラ 才とは、人の具える、徳が表れたもの。
人の徳が、高くなると、才が豊かになる。
個人の徳が、大きいほど、優秀な才を具え、
自身の才能を、使いこなし、恩恵が得られる。
マサシ 材(ザイ)とは、どういうものですか?
アキラ 材とは、地の備える、徳が現れたもの。
世の徳が、高くなると、材が豊かになる。
人々の徳が、大きいほど、様々な才を認め、
世間の人材を、遣いこなし、余裕が生まれる。
マサシ 武治(ブチ)とは、どういうものですか?
アキラ 武治とは、武力を以って、治めること。
勝者が、勝ちに拘ると、価値を占めるが、
敗者らは、勝ちが解らず、礼義を弁えない。
無礼な者を、武で抑え込み、人と罪が減じる。
マサシ 文治(ブンチ)は、どういうものですか?
アキラ 文治とは、知力を持って、治めること。
勝者が、勝ちを譲ると、価値が伝わるが、
敗者らは、勝ちが分かり、礼義を弁まえる。
忠義の者を、徳で抱き込み、人と材が増える。