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物語編

第二章 第五一話 物語編

第二章     財   と   罪
第五一話 地の気が巡る と 地の気が滞る

 

人里離れた桃源郷に、仙術を操る賢者が住む。
君の師の噂は、才を好む、彼の耳にも届いていた。
それを聞き付け、彼は自ら、師の元に赴き招聘した。

 

私が語る前から、彼は師の才を認めていたと。
ああ、知っていた、君が知るより、知っていた。
何よりも、老子の才を認めたのは、法徳の才だった。

 

しかし、君の師は、彼に会おうとしなかった。
彼が、心から世を憂い、民を導く才を求めている。
それを、知っていながら、三度も門前払いをさせた。

 

信じられない、三度も会わなかったのですか。
我が師が、礼儀を尽くす者に、非礼で報いるとは。
ああ、不自然なほどに、無礼な態度で振る舞った。

 

ここに至って、師に対する、彼の評価が変る。
彼にとって、才を埋もらせること、それ即ち、悪。
独り善がりの、この隠者の振舞いに、彼は激怒した。

 

この隠者の才とは、風評を垂れ流すだけの才。
幻想を操り、民心を誑かす、妖術の類に過ぎない。
以降、斯くの如き幻術に、現を抜かすこと能わずと。

 

誰も、この者の弁に、踊らされてはならない。
現実に根ざして、真実を見つめよ、これが布告だ。
君の師は、才を弄び、世を乱した罪で、訴えられた。

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