第二章 第五二話 対話編
CASE 権利 の裏に 権力
マナミ 利を守る力、権利って、どういうものなの?
マサシ 権利とは、個の利を守る、公の権のことだよ。
マナミ 権利は、個の利を守る、個の権じゃないの?
マサシ 個の利は、力が無ければ、守り切れないのさ。
マナミ 権利を、個の権と考えると、どうなるのかな?
マサシ 声高なる、個に釣られて、公が歪み始めるよ。
マナミ 理を護る力、権力って、どういうものなの?
マサシ 権力とは、公の理を護る、公の権のことだよ。
マナミ 権力は、公の利を護る、公の権じゃないの?
マサシ 公の利を、護るためには、理を護るしかない。
マナミ 権力を、公の利と考えると、どうなるのかな?
マサシ 緊急なる、利に釣られて、理が歪み始めるよ。
マナミ 個の利を守りたいなら、公の権を認めるべき。
公の権を見とめたいなら、公の理を護るべき。
マサシ うん、公の理を護れず、個の利も守れない。
つまり、義務に臨まずに、権利など望めない。
マナミ となると、個にも釣られず、利にも釣られず、
公の理を認めるものが、力を授かるべきなの?
マサシ そうさ、その重みに、耐えられるものだけさ。
マナミ ……………………!!
CASE 権利 の先に 権力
サトミ 個の利を守る、権利って、どういうものかな?
メグミ 権利とは、公の利より、個の利を守るものよ。
サトミ 公の理を護る、権力って、どういうものかな?
メグミ 権力とは、個の利より、公の利を護るものよ。
サトミ う~ん、個の利と公の利って、両立するの?
メグミ しないよ、個の利と公の利って、両極なのよ。
サトミ 公の利より、個の利を望むと、どうなるの?
メグミ その人は、権力が遠ざかり、権利に近づくよ。
サトミ 個の利より、公の利に臨むと、どうなるの?
メグミ その人は、権利が遠ざかり、権力に近づくよ。
サトミ 権利を望みたいなら、権力など臨めないし、
権力に臨みたいのなら、権利など望めないの?
メグミ 個の利を追うなら、公の下に着くべきだし、
公の利を負うならば、公の上に立つべきだよ。
サトミ じゃ、財産だとか、家族だとか、名誉だとか、
完全に、個を離れた者しか、権力に就けない。
メグミ 少なくとも、権力に就く間は、そうすべきね。
サトミ そもそも、権力に就けるものが、いるのかな?
メグミ うふっ、個の利が公の利になった、人だけね。
サトミ ……………………!!
CASE 権利 という 権力
サトシ 部分が使える、権利って、どういうものかな?
マナミ 権利とは、個のために、公が仕えることなの。
サトシ 全体が使える、権力って、どういうものかな?
マナミ 権力とは、公のために、個が仕えることなの。
サトシ 絶対に、僕は、権力なんかに、負けないぞ。
マナミ あなたは、何を、そんなに、身構えているの?
サトシ だって、気を抜いたら、権利を奪われちゃう。
マナミ 本来、権利と権力は、対立なんてしてないの。
つまり、個の利を守る、公の理を護っている。
サトシ じゃ、権利を護るために、権力は存在するの?
マナミ 確かに、直接的に守る、仕組じゃないけど、
全体から、間接的に護る、仕掛をしているの。
サトシ おかしいよ、そんな理屈は、信じられないよ。
マナミ まさに、あなたの様に、公の理を認めないと、
逆に、個の利が守られず、力を使い始めるの。
サトシ 違うよ、そんな騙して、権利を奪い取るんだ。
マナミ そうして、疑い始めると、理が歪むだけなの。
サトシ 違うよ、僕は騙されないし、権力に屈しない。
マナミ 好き勝手、権利を訴えるのは、暴力そのもの。
サトシ ……………………
CASE 権力 という 権利
サトシ 個の利を望む、権利って、どういうものかな?
マサシ 権利とは、個を介しながら、利を望むことさ。
サトシ つまり、個に限らないと、権利を持てないの?
マサシ 公の為に、権利を訴えると、力が伴なうのさ。
サトシ じゃあ、全体の理として、個人が訴えるのは、
本来なら、絶対に行っては、いけないのかな?
マサシ そうさ、器を弁えていないと、利が滞るのさ。
サトシ 公の理に臨む、権力って、どういうものかな?
マサシ 権力とは、公を解しながら、理に臨むことさ。
サトシ つまり、公に尽さないと、権力を持てないの?
マサシ 個の為に、権力を振るうと、利に塗れるのさ。
サトシ じゃあ、地元の利のため、国政に出るのは、
本来なら、絶対に為しては、いけないのかな?
マサシ そうさ、欲を越えていないと、理が歪むのさ。
サトシ じゃ、権利を使いながら、公に浸かれないし、
反対に、権力を用いながら、個に漬かれない。
マサシ そうだよ、権利と権力は、厳密に分けるのさ。
サトシ そっか、曖昧に別けるから、濫用に陥るのか。
マサシ うん、合わせて良いのは、器を広げてからさ。
サトシ ……………………!!
CASE 権利 と 権威 と 権力
サトシ 権に従がう、権威って、どういうものかな?
アツシ 権威とは、自ずから、他を順わせるものだな。
サトシ 個に従がう、権利って、どういうものかな?
アツシ 権利とは、個の利に、他を順わせるものだな。
サトシ 公に従がう、権力って、どういうものかな?
アツシ 権力とは、公の理に、他を順わせるものだな。
サトシ 権利にしても、権力にしても、権威があれば、
人にしても、人々にしても、自ずと従がうの?
アツシ そうだな、権威が伴えば、自然に順うはずだ。
サトシ どうすれば、権利や権力に、権威が伴なうの?
アツシ 大局的な、理を重んじて、利を巡らせるんだ。
サトシ どうすれば、権利や権力が、権威を損なうの?
アツシ 局所的な、利を重んじて、理を歪めることだ。
サトシ 権利と権力、刻し合うなら、権威が下るし、
権力と権利が、補い合うなら、権威が上るの?
アツシ どちらでも、欲に塗れると、権威が落ちるな。
サトシ つまり、安直に望むから、権威は下がるし、
その逆に、慎重に臨むなら、権威は上がるの?
アツシ その通りだ、権威の本質とは、徳だからだな。
サトシ ……………………!!
CASE 権力なき権利 と 権利なき権力
サトミ 権利と権力、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 個が使える、権利って、どういうものかな?
メグミ 権利とは、個の利のため、公を従えることよ。
サトミ 公に仕える、権力って、どういうものかな?
メグミ 権力とは、公の理のため、個を順えることよ。
サトミ 権利を望み、権力に臨まないと、どうなるの?
メグミ 権力なき権利なんて、唯の無力に過ぎないよ。
サトミ じゃ、個が使えるだけ、公に仕えないのかな?
メグミ そうよ、利を訴えるだけ、誰も適えなくなる。
サトミ 権力を望み、権利に臨まないと、どうなるの?
メグミ 権利なき権力なんて、只の暴力に過ぎないよ。
サトミ じゃ、公に仕えるだけ、個が使えないのかな?
メグミ そうよ、力を振るうだけ、誰も従わなくなる。
サトミ 権利だけは、仕えないから、使えなくなり、
権力ばかりは、使えないから、仕えなくなる?
メグミ うん、権利と権力、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、権力に従い、権利に順っていくの?
メグミ そうなの、権利を使い、権力を遣っていくの。
サトミ ……………………!!