第二章 第五四話 対話編
CASE 修学 の裏に 修道
マナミ 学を修める、修学って、どういうものなの?
マサシ 修学とは、思いのままに、修めていくことさ。
マナミ 好きなものだけ、突き詰めると、どうなるの?
マサシ 積み重なり、日に日に得する、気分になるよ。
マナミ じゃあ、学を修めると、良いことばかりなの?
マサシ いやいや、思いのままに、道を逸れていくよ。
マナミ 道を修める、修道って、どういうものなの?
マサシ 修道とは、在りのままに、修めていくことさ。
マナミ 嫌いなものまで、受け容れると、どうなるの?
マサシ 打ち壊され、日に日に損する、気分になるよ。
マナミ じゃあ、道を修めると、悪いことばかりなの?
マサシ いやいや、在りのままに、道を辿っていくよ。
マナミ 得しようと、学を修めると、後に徳にならず、
損をしようと、道を修めると、後に徳になる?
マサシ 興味本位で、探し求めるような、学び方は、
最終地点には、辿り着けない、仕組みなのさ。
マナミ 道には、本心を試される、仕組みがあるのね。
面白いね、どうして、そんな罠があるのかな?
マサシ そんな、好奇心でなく、本気で道を辿りなよ。
マナミ ……………………
CASE 修学 の先に 修道
メグミ 先ず、学を修めると、得する様に感じるけど、
続いて、道を修めると、損する様に観じるよ。
サトミ どうして、学を修めると、得を感じるのかな?
メグミ それは、好きな物しか、積み重ねないからよ。
サトミ 好きな物しか認めないと、どうなるのかな?
メグミ 好き嫌いが強まるから、分別に捕らわれるの。
サトミ 色々、知っている人ほど、拘りが激しいよね?
メグミ それは、好きな物だけ、突き詰めたからなの。
サトミ どうして、道を修めると、損を観じるのかな?
メグミ それは、嫌いな物まで、積み重ねるからだよ。
サトミ 嫌いな物まで見とめると、どうなるのかな?
メグミ 好き嫌いが弱まるから、分別に囚われないの。
サトミ 酸いも甘いも味わうほど、拘りが消えるよね?
メグミ それは、嫌いな物まで、受け容れたからなの。
サトミ すなわち、好きと嫌いが、等しく見えること。
それが、修めるべき道、ということなのかな?
メグミ うん、それが道なの、その道を辿ると良いよ。
サトミ そっか、良い事を学べて、今日は得した気分。
メグミ ほら、しっかり学んで、まだまだ道は遠いよ。
サトミ ……………………!!
CASE 修学 という 修道
サトシ 我が肥える、修学って、どういうものかな?
アツシ 修学とは、向学心を持ち、学を修めることだ。
サトシ 学を望んで、我を太らすと、どうなるのかな?
アツシ 日に日に、持ってないものが、現われてくる。
サトシ 学べば学ぶほど、何も無いことが、分かるの?
アツシ 未だ足りない、未だ足りないと、我が肥える。
サトシ 我を超える、修道って、どういうものかな?
アツシ 修道とは、求道心を持ち、道を修めることだ。
サトシ 道に臨んで、我が痩せると、どうなるのかな?
アツシ 日に日に、持っていたものが、失われていく。
サトシ 進めば進むほど、既に有ることが、解かるの?
アツシ 未だ有るのか、未だ有るのかと、我を越える。
サトシ 学べば学ぶほど、我の貧しさが見えて来て、
進めば進めむほど、真の豊かさが見えて来る。
アツシ 我の乏しさが分らず、我を捨てられないし、
真の裕かさが解からず、我を越えられないな。
サトシ う~ん、学を修めるのは、無知を知るため、
次に、学を捨てるのは、真の英知に至るため。
アツシ そうだ、知ったからには、すべて忘れてくれ。
サトシ ……………………!!
CASE 修道なき修学 と 修学なき修道
サトミ 修学と修道、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 我を鍛える、修学って、どういうものかな?
メグミ 修学とは、我を磨くため、学を修めることよ。
サトミ 我を越える、修道って、どういうものかな?
メグミ 修道とは、我を解くため、学を離れることよ。
サトミ 修学を望み、修道に臨まないと、どうなるの?
メグミ 修道なき修学なんて、唯の依学に過ぎないよ。
サトミ じゃ、学を究めるだけ、我を越えないのかな?
メグミ そうよ、学に依るだけは、我を飾るばかりよ。
サトミ 修道を望み、修学に臨まないと、どうなるの?
メグミ 修学なき修道なんて、只の極道に過ぎないよ。
サトミ じゃ、道を極めるだけ、他を学ばないのかな?
メグミ そうよ、道に拠るだけは、他が去るばかりよ。
サトミ 修学だけでは、究めるほど、離れなくなり、
修道ばかりでは、極めるほど、寄らなくなる?
メグミ うん、修学と修道、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、修道を究め、修学を極めていくの?
メグミ そうなの、修学を超え、修道を越えていくの。
サトミ ……………………!!