物語編
第二章 第五五話 概念編
第二章 老若貴賤
第五五回 若 の裏に 老
若いは、陽と陰を見て、良い方を知ること
老いとは、陰と陽を見て、悪い法も知ること
若いと、良い方だけ捉えて、楽観的に見やすく
老いると、悪い法まで捕えて、悲観的に見やすい
若いとは、努め無くして、栄えていくこと
労せずして、困難なことが、容易になるため
万能感を抱き、傲慢に嵌まり、楽観的に考える
若気の至りから、良い方を捉え、悪い法に捕まる
老いとは、務め虚しくて、衰えていくこと
老してから、容易なことが、困難になるため
無力感を抱き、卑屈に嵌まり、悲観的に考える
老気の陰りから、悪い方を憶え、良い法を忘れる
老若貴賤は、老若を問わず、貴賤が生じる
老いには、悪い方でなく、良い法もあること
若さの段は、主観に偏って、実感に溺れやすく
老いの階では、客観に直って、達観に至りやすい