第二章 第五六話 対話編
CASE 命 の裏に 名
マナミ 天が命じるもの、命って、どういうものなの?
マサシ 命とは、天から授けられる、人の型のことさ。
マナミ 天上から、地の様相を見ると、何が見えるの?
マサシ 多彩な役が、埋まれているのが、見えるのさ。
マナミ 埋まれた役を、活かすように、命を下ろすの?
マサシ そうさ、命が宿らなければ、役に立たないよ。
マナミ 人が銘じるもの、名って、どういうものなの?
マサシ 名とは、人から与えられる、人の形のことさ。
マナミ 地上から、地の様子を見ると、何が見えるの?
マサシ 多様な人が、生まれているのが、見えるのさ。
マナミ 生まれた人を、活かすように、名を付けるの?
マサシ そうさ、名を持たなければ、様に成らないよ。
マナミ 天に、決められた役が、地に埋れているけど、
それに、天が命を授けて、人が名を与えるの?
マサシ 生まれて、人が下した、名を介していけば、
活きながら、天が降した、命を解していける。
マナミ 人の名に、天の命が宿っているの、面白いね。
じゃあ、わたしの名には、どんな命があるの?
マサシ いや、君の命だからね、君が解すべきなのさ。
マナミ ……………………!!
CASE 命 の先に 名
サトミ 命じるもの、使命って、どういうものかな?
メグミ 使命とは、型から形へと、横に伝わるものよ。
サトミ つまり、文化の遺伝子、ミームと呼ぶもの?
メグミ うん、誰かが果さないと、誰かが遂げるのよ。
サトミ 型と形は、異なるけど、共通の性があるの?
メグミ そうよ、使命を果たすと、次の時代に進むよ。
サトミ 銘じるもの、氏名って、どういうものかな?
メグミ 氏名とは、親から子へと、縦に伝わるものよ。
サトミ つまり、進化の遺伝子、ジーンと呼ぶもの?
メグミ うん、先祖が果さないと、子孫が遂げるのよ。
サトミ 親と子は、異なるけど、共通の姓があるの?
メグミ そうよ、氏名を解すると、次の世代に進むよ。
サトミ 先ず、誰かが選ばれて、命が下ろされるけど、
彼らが、果さないと、二つの道に別れるのね。
メグミ うん、其の時に於いて、同胞が果たすのか。
または、後の代に於いて、子孫が遂げるのか。
サトミ 天の命は、何が何でも、果さないといけない。
天の命から、逃げようと、逃れられないのね。
メグミ それって、もしかして、誰かに言わされてる?
サトミ ……………………
CASE 命 という 名
サトシ 天が命ずもの、命って、どういうものかな?
アツシ 命とは、天が考える、人の生き方のことだな。
サトシ 天は、どのように、生きよと考えるのかな?
アツシ たとえ、苦しんでも、楽しく生きよと考える。
サトシ 肝に銘ずもの、名って、どういうものかな?
アツシ 名とは、人が考える、人の生き方のことだな。
サトシ 人は、どのように、生きたいと考えるのかな?
アツシ あまり、苦しくない、楽しく生きたいと望む。
サトシ 命と名が、乖離すると、どうなっていくの?
アツシ 楽しくても、苦しくても、虚しくなっていく。
サトシ 命と名が、一致すると、どうなっていくの?
アツシ 苦しくても、楽しくても、嬉しくなっていく。
サトシ じゃ、苦しみから逃げずに、喜んでいれば、
いずれ、生まれた意味に、気づくということ?
アツシ ああ、華やかな所しか、見ようとしなければ、
人生の、真の意味なんて、解かるわけがない。
サトシ これまで、辛い事が多くて、逃げていたけど、
人生の意味を、悟りたいから、立ち向かうよ。
アツシ ああ、まさしく、それこそ、君の名の意味だ。
サトシ ……………………!!
CASE 名 という 命
サトシ 天が望むもの、命って、どういうものかな?
マサシ 命とは、生きている事を、尊いとするものさ。
サトシ 天は、選れてなくても、貴いと考えているの?
マサシ そうさ、死ぬくらいなら、勝れよと考えるよ。
サトシ それなら、命を断つことを、許さないのかな?
マサシ その通りさ、命に背けば、再び命じられるよ。
サトシ 人が望むもの、名って、どういうものかな?
マサシ 名とは、優れている事を、尊いとするものさ。
サトシ 人は、生きてなくても、貴いと考えているの?
マサシ そうさ、劣るくらいなら、死のうと考えるよ。
サトシ それなら、名を汚すことを、赦さないのかな?
マサシ その通りさ、名に悖れば、命を捨ててしまう。
サトシ ということは、器に応じた、名を望まないと、
命を果せず、生まれ変るから、名が廃るだけ?
マサシ そうだよ、その命に応じた、名が付くまで、
生れ変わり、落ち魄れていく、だけになるよ。
サトシ それなら、我が名のために、命を捨てても、
実際は、名は上がらずに、名が下がるだけか。
マサシ こうして、命を果して、名を上げるしかない。
サトシ ……………………!!
CASE 名のない命 と 命のない名
サトミ 命と名、どちらの方を、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 天から享ける、命って、どういうものかな?
メグミ 命とは、生きていないと、降っていくものよ。
サトミ 人から受ける、名って、どういうものかな?
メグミ 名とは、活きていないと、下っていくものよ。
サトミ 命を重んじて、名を軽んじると、どうなるの?
メグミ 名のない命なんて、単なる死命に過ぎないよ。
サトミ じゃ、生きていても、活きていないのかな?
メグミ そうよ、死んだように、生きているだけだよ。
サトミ 名を重んじて、命を軽んじると、どうなるの?
メグミ 命のない名なんて、単なる売名に過ぎないよ。
サトミ じゃ、活きてないと、生きていないのかな?
メグミ そうよ、生きることを、諦めているだけだよ。
サトミ 命だけは、活きないから、降ってしまうし、
名ばかりは、生きないから、下ってしまうの?
メグミ そうよ、命と名、その両方が、必要になるの。
サトミ じゃ、名を究めながら、名を極めていくの?
メグミ うふっ、命を超えながら、名を越えていくの。
サトミ ……………………!!