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物語編

第五章 第二五話 物語編

第五章    終末   と   審判
第二五話 罪に捕われる と 罪に裁かれる

 

しばらく、真理は、律法学者達を見つめていた。
その鋭くも、美しい視線に、耐え切れなくなると、
彼らは、急に黙り込んで、教皇の後ろに身を潜めた。

 

今までも、そして、おそらくは、これからも、
神の姿を見た、神の声を聴いた、神の言を預った。
そんな神憑りが、此の地には、幾らも訪れて来よう。

 

神は、この私に、そんな奇跡は一切与えない。
私が、超常の奇跡を、神の恩寵の証に使った途端、
彼らと、何ら変らない、ただの神憑りの一人となる。

 

それでは、如何なる権威で、真理を語るのか。
真理の御霊は、神の言の美しさ、宿す霊の麗しさ、
ただ、それのみ、真理を語る、権威を授かっている。

 

自ら、因果を辿るとき、自らに実感が生じる。
如何して、神の言を辿らず、聖霊が姿を魅せよう。
物欲しげに、証を求める者に、与える様な神に非ず。

 

真理は、他を諦めて、最後に残るものであり、
他に臨んで、その傍らに、望んで良いものでない。
望まない者に、真理を解くのは、聖霊の冒涜と知れ。

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