物語編
第六章 第四八話 物語編
第六章 常人 と 超人
第四八話 他に塗れる者 と 他を超える者
〔継母に命を狙われた、兄妹が羊に助けられる。
神の命で遣わされた羊は、彼らを背に乗せて飛ぶ。
空を高く駈け渡り、安住の地に連れて行こうとする。〕
〔しかし、妹の方は、空を飛ぶ高さに目が眩み、
せっかく救われたのに、羊の背から落ちてしまう。
天に至らせても、地に落ちてしまう、重たい人の罪。〕
〔さらに、兄の方は、金の羊の輝きに目が眩み、
あろうか助けてくれた、羊の生命を屠ってしまう。
法を与えても、業に腐らせてしまう、悲しい人の性。〕
〔白羊宮とは、求めないものに、与えてしまい、
与えたものから、捨てられてしまう、悲劇の時代。
英雄が大衆を従え、戦争と征服を、積み重ねていく。〕
〔智徳よ、解らないまま従がうと、如何なるか。〕
「主よ、目が眩んだ民に、十戒の石版が贈られる。
即ち、牡牛の時代が終わり、牡羊の時代が始るかと。」
〔法徳よ、判らないまま逆らうと、如何なるか。〕
『主よ、目が眩んだ民に、最後の子羊が屠られる。
即ち、牡羊の時代が終わり、魚座の時代に始るかと。』
〔妙なることだ、智徳よ、稀なることだ、法徳よ。
自立を促がせ、その果報により、双魚宮が開かれる。〕