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物語編

第六章 第五五話 物語編

第六章    闇黒   と   光明
第五五話 闇の中に隠す と 光の中に現す

 

智徳よ、思い起せば、汝との最初の出会いは、
外道の教祖として、汝が迫害を企てたときだった。
その際、汝は無闇に秘法を漏らす、大悪業を為した。

 

法徳よ、振り返れば、汝との最初の出会いは、
第六の天魔として、汝が邪魔を企んだときだった。
その際、汝は覚者の済度を危める、大悪業を積んだ。

 

それから、幾千の劫を越え、今この時に至る。
二人とも、我が許で行を修めて、業を越えている。
しかし、まだ、心の深い奥底には、罪が潜んでいる。

 

汝らは、追い詰められると、こう思うだろう。
智徳は、何故、我が扱いだけが、皆と異なるのか。
法徳は、何故に、我を救うものは、誰も居ないのか。

 

いずれも、積んだ罪こそが、為せる業である。
繰り返さなくてもいいが、繰り返しているだろう。
ならば、その業を、己の意志にて、神の意思とせよ。

 

是より始まる、神の計画に、身口意を捧げよ。
噴き出した我が罪は、神の掌の上で神の業となる。
大いなる罪が洗われてこそ、大いなる空が現われる。

 

愛しい息子たちよ、さあ、行け、そして会わん。
この次は宿縁の敵として、その次は宿命の友として。

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