第六章 第四二話 対話編
CASE 親愛 の裏に 信愛
マナミ ねぇ、バクティ、親愛は、どういうものなの?
マサシ 親愛とは、我を愛するよう、他を愛すことさ。
マナミ 我を介して、他を愛するほど、どうなるの?
マサシ 他が喜び、我が清くなって、善を重ねるのさ。
マナミ 我を介して、他を愛さないと、どうなるの?
マサシ 他が憂い、我が汚くなって、悪を重ねるのさ。
マナミ じゃ、バクティ、信愛は、どういうものなの?
マサシ 信愛とは、我を忘れるよう、神を愛すことさ。
マナミ 我を忘れて、神を愛するほど、どうなるの?
マサシ 我が消え、器が大きくなり、徳を重ねるのさ。
マナミ 我に囚われ、神を忘れるほど、どうなるの?
マサシ 我が現れ、器が小さくなり、徳を損なうのさ。
マナミ つまり、愛が横に向うと、業が移り変わり、
更に、その愛が上に向うと、業を乗り越える?
マサシ そうさ、器の中に湧けば、器を清めていき、
更に、器の外に溢れ出せば、器を越えていく。
マナミ そっか、広く人を愛すと、深く神を愛せて、
最終的に、愛に充たされた、世界に還えるの?
マサシ そうさ、神が愛している、神の境地に還るよ。
マナミ ……………………!!
CASE 親愛 の先に 信愛
サトミ 人を愛する、隣人の愛は、どういうものかな?
メグミ 親愛とは、我が愛するよう、人を愛するのよ。
サトミ 神を愛する、信仰の愛は、どういうものかな?
メグミ 信愛とは、我を忘れるよう、神を愛するのよ。
サトミ う~ん、良く解からない、どういうことなの?
メグミ 親愛なら、我を愛すように、他を愛すけど、
信愛ならば、神が愛すように、全て愛すのよ。
サトミ まだ、良く分からない、何かに喩えて欲しい。
例えば、薬が嫌いな、私達が病気に為ったら?
メグミ 親愛なら、嫌いならば、飲まないでイイよ。
信愛ならば、嫌いだけど、飲まないとダメよ。
サトミ 他の人が、嫌がるもの、押し付けちゃダメよ。
メグミ 確かに、そうだよね、わたしも、そう思うよ。
でも、薬を飲まないと、病気が治らないのよ。
サトミ う~ん、そうすると、飲んだ方が良いのかな?
メグミ それなら、最初に、わたしが飲んでみるから、
それで、病が治れば、あなたも呑んでみたい?
サトミ うん、それなら出来る、病気を治したいもん。
メグミ うふっ、だよね、これが、親愛から信愛なの。
サトミ ……………………!!
CASE 信 愛 の ヨ ー ガ
サトシ バクティ・ヨーガって、どういうものかな?
マサシ 我を忘れて、神を愛する、ヨーガのことだよ。
サトシ 神を愛し、自我を忘れれば、良いだけなの?
マサシ 確かに、その通りだけど、簡単じゃないのさ。
サトシ 簡単だよ、だって、僕、神様が大好きだもん。
マサシ それは、甘えているだけ、愛していないのさ。
サトシ じゃ、神が天の側に居ると、好きでいるけど、
反対に、神が魔の側に回ると、嫌いになるの?
マサシ うん、天に現れている、神を愛しているだけ。
サトシ じゃあ、神を愛するには、どうすれば良いの?
マサシ いかなる、神様の仕掛けも、解き明かすよう、
いつも、理を突き詰めて、智を研き抜くのさ。
サトシ じゃ、神様を愛すには、愛せる智が必要なの?
マサシ そうさ、すべての仕組を、愛せるぐらいのね。
サトシ ちょっと、そういうのって、想定外だったな。
天の神様を、愛すだけだって、思っていたよ。
マサシ どこにも、神を認めないと、愛せてないよ。
つまり、神は普遍にして、遍在しているのさ。
サトシ ああ、もういいや、何か嘘っぽく見えて来た。
マサシ ……………………
CASE 信愛なき親愛 と 親愛なき信愛
サトミ 親愛と信愛、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 親しみ愛す、親愛って、どういうものかな?
メグミ 親愛とは、我を愛すほど、他を愛することよ。
サトミ 信じて愛す、信愛って、どういうものかな?
メグミ 信愛とは、我を失うほど、神を愛することよ。
サトミ 親愛を望み、信愛に臨まないと、どうなるの?
メグミ 信愛なき親愛なんて、唯の愛情に過ぎないよ。
サトミ じゃ、人だけ愛すると、愛が歪んでしまうの?
メグミ そうよ、神を愛さないと、人も愛せなくなる。
サトミ 信愛を望み、親愛に臨まないと、どうなるの?
メグミ 親愛なき信愛なんて、只の非情に過ぎないよ。
サトミ じゃ、神だけ愛すると、愛が薄れてしまうの?
メグミ そうよ、人を愛さないと、神も愛せなくなる。
サトミ 親愛だけでは、愛が歪んで、愛が醜くなり、
信愛ばかりでは、愛を忘れて、愛が薄くなる?
メグミ うん、親愛と信愛、その両方が、必要なのよ。
サトミ そっか、バクティは、本当に、奥が深いのね。
メグミ うん、この一言で、全てを、愛しているのよ。
サトミ ……………………!!