第六章 第四五話 対話編
CASE 選民 の裏に 賤民
マナミ 選ばれし民、選民って、どういうものなの?
マサシ 選民とは、型を創る、選ばれし者のことだよ。
マナミ 選民は、カルマを越え、カーストが上なの?
マサシ うん、カルマが寡いから、形を従がえるのさ。
マナミ 選民が、カルマに塗れると、どうなるのかな?
マサシ カルマに、捕らわれたら、選民は賤民になる。
マナミ 捕われし民、賤民って、どういうものなの?
マサシ 賤民とは、形を作る、囚われし者のことだよ。
マナミ 賤民は、カルマに塗れ、カーストが下なの?
マサシ うん、カルマが多いから、型に順うしかない。
マナミ 賤民が、カルマを越えると、どうなるのかな?
マサシ カルマに、囚われないと、賤民は選民になる。
マナミ つまり、カルマを捕え、カーストに囚われ、
逆に、カルマを越えると、カーストも超える?
マサシ そうさ、カルマが無いなら、カーストも無い。
マナミ じゃ、カーストが上位だから、選ばれていて、
上から、救われると思い込むと、どうなるの?
マサシ その瞬間、カルマが生じて、カーストが下る。
誰もが、上に救いを求め、下に掬われるのさ。
マナミ ……………………!!
CASE 選民 の先に 賤民
サトミ 新約を侮る、選民って、どういうものかな?
メグミ 選民とは、愛を軽んじて、法を重んじる民よ。
サトミ 選民が、法を重んじるほど、どうなるのかな?
メグミ 賢ければ、選ばれて当り前と 慢じてしまう。
サトミ 選民が、愛を軽んじるほど、どうなるのかな?
メグミ 愚かなら、択ばれず当り前と、蔑んでしまう。
サトミ 旧約を蔑む、賤民って、どういうものかな?
メグミ 賤民とは、法を軽んじて、愛を重んじる民よ。
サトミ 賤民が、愛を重んじるほど、どうなるのかな?
メグミ 信じれば、愛されて当り前と、甘えてしまう。
サトミ 賤民が、法を軽んじるほど、どうなるのかな?
メグミ 愚かでも、許されて当り前と、遊んでしまう。
サトミ 上の者なら、下の者を育て、愛すべきだし、
下の者ならば、上の者に倣い、学ぶべきなの?
メグミ そうよ、法を修めて、人の上に立った者は、
その次は、愛を培って、他を育て上げるのよ。
サトミ そっか、愛を受けて、人の愛を知った者は、
その次は、法を修めて、自ら磨き上げるのね。
メグミ うふっ、この教えも、自ら修めて他に説いて。
サトミ ……………………!!
CASE 選民 という 賤民
サトシ ねぇねぇ、選民思想って、どういうものかな?
マサシ 選民思想は、新約を侮って、旧約を尊ぶのさ。
サトシ ゴイム、獣の民と蔑んで、支配してしまうの?
マサシ 自分だけ、神に選ばれると、考えているのさ。
サトシ つまり、神の法に拘って、神の愛を広めない?
マサシ うん、傲慢に陥って、神の道を進まないから、
「汝らは蝮の子」って、言われてしまうのさ。
サトシ それなら、賤民思想って、どういうものかな?
マサシ 賤民思想は、旧約を侮って、新約を尊ぶのさ。
サトシ 666、獣の数と辱めて、迫害してしまうの?
マサシ 自分だけ、神に愛されると、考えているのさ。
サトシ つまり、神の愛に甘えて、神の法を修めない?
マサシ うん、怠惰に陥って、人の道を進まないから、
「汝を知らない」って、言われてしまうのさ。
サトシ そっか、どちらも、自分は正しいと思うけど、
どちらも、同じ罪を、犯しているってことか!
マサシ そうさ、自分は違うと、誰もが想っているよ。
サトシ なるほど、どうして、誰も気づかないのかな?
マサシ ほらね、自分は違うと、君も想っているのさ。
サトシ ……………………
CASE 賤民なき選民 と 選民なき賤民
サトミ 選民と賤民、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 旧約に拘る、選民って、どういうものかな?
メグミ 選民とは、愛を修めずに、法で治める者だよ。
サトミ 新約に拘る、賤民って、どういうものかな?
メグミ 賤民とは、法を修めずに、愛で治める者だよ。
サトミ 選民を望み、賤民に臨まないと、どうなるの?
メグミ 賤民なき選民なんて、唯の愚民に過ぎないよ。
サトミ じゃ、法を布きながら、下を切り捨てるの?
メグミ そうよ、下が崩れていき、自身が下になるよ。
サトミ 賤民を望み、賤民に臨まないと、どうなるの?
メグミ 選民なき賤民なんて、只の暴民に過ぎないよ。
サトミ じゃ、愛を謳いながら、上を嫉み続けるの?
メグミ そうよ、上と離れていき、永遠に下になるよ。
サトミ 選民だけでは、いずれ、誰も見えなくなり、
賤民ばかりでは、いずれ、何も認めなくなる?
メグミ うん、選民と賤民、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、選民を究めて、賤民を極めていくの?
メグミ うん、選民を超えて、賤民を越えていくのよ。
サトミ ……………………!!