第六章 第四九話 対話編
CASE 性愛 の裏に 聖愛
マナミ 性的に愛す、性愛って、どういうものなの?
マサシ 性愛とは、内に臨まずに、外に望む愛なのさ。
マナミ 外を重んじ、身を望むほど、どうなるのかな?
マサシ 身に従い、外を追うから、愛が移っていくよ。
マナミ つまり、肉体に従うと、新しい恋を追うだけ?
マサシ そうだよ、性愛では、親しい愛に気づけない。
マナミ 聖的に愛す、聖愛って、どういうものなの?
マサシ 聖愛とは、外に望まずに、内に臨む愛なのさ。
マナミ 内を重んじ、心に臨むほど、どうなるのかな?
マサシ 心に順い、内に負うから、愛が篭っていくよ。
マナミ つまり、精神に順うと、移ろう恋を終えるの?
マサシ そうだよ、聖愛こそ、確かな愛を築けるのさ。
マナミ 性愛は、恋を作り上げ、時と共に弱くなり、
聖愛なら、愛を創り上げ、時と共に強くなる?
マサシ 性愛は、忘我を味わう、入口と言えるけど、
いざ、忘我に囚われると、出口に繋がるのさ。
マナミ う~ん、仮初に頼ると、振り回されるのね。
私も、確かな愛を築ける、相手が欲しいなあ。
マサシ う~ん、そう思うのは、既に外向きだけどね。
マナミ ……………………
CASE 性愛 の先に 聖愛
サトミ ねぇねぇ、双魚宮って、どういうものかな?
メグミ 二千年、愛を主題にして、陰陽を味わうのよ。
サトミ それなら、魚座の神話って、どういう話かな?
メグミ 母子が、性愛に囚われて、怪物に襲われる。
魚に化けても、尾が繋がり、逃げ切れないの。
サトミ 性を愛する、性愛って、どういうものかな?
メグミ 性愛とは、外に向うから、恐れを抱く愛だよ。
サトミ 善きにせよ、悪しきにせよ、認めないのかな?
メグミ 覚ったり、醒ましたりを、避けようとするよ。
サトミ 聖を愛する、聖愛って、どういうものかな?
メグミ 聖愛とは、内に向うから、畏れを抱く愛だよ。
サトミ 善きにせよ、悪しきにせよ、見とめるのかな?
メグミ 悟ったり、解かったりを、求めようとするよ。
サトミ つまり、魚座の時代は、愛がテーマとなり、
この世に、性愛と聖愛が、登場する時代なの?
メグミ そうよ、性愛に依ると、魚座が暗くなるし、
逆に、聖愛に拠ると、魚座が明るくなるのよ。
サトミ そっか、愛の在り方を、突き詰める二千年ね。
メグミ しっかり、味わい切ると、宝瓶宮に続くのよ。
サトミ ……………………!!
CASE 双 魚 宮 の 時 代
サトシ あのね、双魚宮の時代は、どういう時代かな?
マサシ 双魚宮の時代は、魚座の神話、そのものだよ。
サトシ 快物に終われた母子が、互いの尾を結んだ、
二匹の魚に化けて、川を逃げて行く話だよね。
マサシ この話の問題は、恐怖を感じ逃げ出した点さ。
サトシ 性の神エロースは、快に溺れてしまったよ。
マサシ 快を望んでいるから、苦に臨んでしまうのに、
苦を隠して、快だけ愛すから、追われ続ける。
サトシ 愛の神アフロディーテは、美に溺れてしまう。
マサシ 美を望んでいるから、醜に臨んでしまうのに、
醜を隠して、美だけ愛すから、追われ続ける。
サトシ 双魚宮は、性愛に溺れて、一つが二つになり、
隠した物に、追われている、そんな時代なの?
マサシ 快と苦、美と醜、善と悪、宗教と科学など。
この時代、限りなく分裂が、繰り返されたよ。
サトシ そして、最終的な分裂に、辿り着いてしまう。
それこそ、最終戦争である、ハルマゲドンか。
マサシ 二千年、逃げ続けて、膨れ上がった怪物だよ。
また、逃げたって、最初から遣り直すだけさ。
サトシ ……………………
CASE 聖愛なき性愛 と 性愛なき聖愛
サトミ 性愛と聖愛、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 双魚宮の陰、性愛って、どういうものかな?
メグミ 性愛とは、我が外を愛す、性なる愛のことよ。
サトミ 双魚宮の陽、聖愛って、どういうものかな?
メグミ 聖愛とは、我が内に育む、聖なる愛のことよ。
サトミ 性愛を望み、聖愛に臨まないと、どうなるの?
メグミ 聖愛なき性愛なんて、唯の薄愛に過ぎないよ。
サトミ じゃ、外を愛すばかり、内に育んでないの?
メグミ そうよ、直ぐに昂るけど、直ぐに褪めていく。
サトミ 聖愛を望み、性愛に臨まないと、どうなるの?
メグミ 性愛なき聖愛なんて、只の敬愛に過ぎないよ。
サトミ じゃ、内に育むばかり、外を愛してないの?
メグミ そうよ、確かに愛すけど、敬して遠ざけるよ。
サトミ 性愛だけでは、昂ぶるけど、愛が続かない。
聖愛ばかりでは、高まるけど、命が続かない。
メグミ うん、性愛と聖愛、その両方が、必要なのよ。
サトミ そっか、陰陽が、揃ってこそ、双魚宮が輝く。
メグミ うん、そして、耀いてこそ、宝瓶宮に続くよ。
サトミ ……………………!!