物語編
第一章 第二四話 物語編
第一章 分析 と 総合
第二四話 二元に分ける と 一元に合せる
「それでは、何故に、自身の目で確めないのか。
なにゆえ、私を介して、老師を解そうとするのか。
私には、貴方ほどの者が、人を使う真意が解らない。」
私の降って湧いた問に、彼は声を上げて笑い出した。
『なるほど、そこまで、考えが至るのであれば、
どうして、その先にまで、考えが及ばないものか。
故意に、不完全を装い、演じている様にさえ見える。』
『君から見ると、良く解らないかもしれないが、
私から見ると、分かっている様にしか、見えない。
解からない、振りをしているだけに、見えてしまう。』
『君と私は、反対に見えて、同じものを抱える。
もともと、一つであった者が、二つの者に別れて、
何かを、演じる切るために、知らぬ体を為している。』
『一つの身を持っては、意識し得えないものを、
二つの身体を以ってして、意味を描いているのか。
多くの意味を表した後から、真の意識が現れるのか。』
『いいや、賢い訪問者に、不用意に語り過ぎた。
忘れるんだ、私の方が先に、君を、染めてしまう。
さあ、行くが良い、また、必ず、会うことになろう。』