第一章 第二八話 対話編
CASE 無理 の裏に 合理
マナミ 解ってない、無理って、どういうものなの?
マサシ 無理とは、思いのままに、原因が解ることさ。
マナミ 解っている、合理って、どういうものなの?
マサシ 合理とは、在りのままに、原因が解ることさ。
マナミ 無理にせよ、合理にしても、解ることなの?
マサシ 無理は、Aが解っても、非Aは解らないこと。
合理とは、Aが解ったら、非Aも解ることさ。
マナミ 逆の原因を、認めないとき、どうなるのかな?
マサシ 少しずつ、知能が鈍って、時間が遅くなるよ。
マナミ 逆の原因を、見とめるとき、どうなるのかな?
マサシ 少しずつ、知能が冴えて、時間が早くなるよ。
マナミ という事は、解っていれば、良い訳じゃなく、
あらゆる事を、解ろうとする、必要があるの?
マサシ そうさ、徒に愛しても、理を愛すどころか、
逆に、理を愛すだけ、理を憎むこともあるよ。
マナミ これは、すごいことが、解っちゃった気分。
これだけ、解っていれば、もう充分なくらい。
マサシ 解ってない、無理の自覚が、出来ていない。
好き勝手、解っていれば、良い訳じゃないよ。
マナミ ……………………!!
CASE 無理 の先に 合理
サトミ 理を損ねる、無理って、どういうものかな?
メグミ 無理とは、好きな原因を、認めることなのよ。
サトミ 理を求める、合理って、どういうものかな?
メグミ 合理とは、嫌いな原因を、認めることなのよ。
サトミ 好む原因を、認めていると、どうなるのかな?
メグミ 嫌いな原因を、認めないから、無理になるよ。
サトミ 親しい因果だけ、解していたら、いけないの?
メグミ 疎い因果まで、解そうとしないと、滞るのよ。
サトミ 認識が遅くなり、実感が滞ると、どうなるの?
メグミ 条件に臨まず、因果を望んで、普遍を損うよ。
サトミ じゃ、自ずと重くなり、周りは軽くなるの?
メグミ そうよ、重さに隠される、軽さを見とめない。
サトミ 圧し掛る、縁を認めないと、どうなるのかな?
メグミ 確かに、縁を訪わないと、世界は保たれる。
でも、その縁を問われると、世界は崩れるよ。
サトミ そっか、因果に被われて、自我を守っても、
結局、その因果が覆えって、自我が壊される。
メグミ 一見ね、このように、壊れた様に見えるけど、
より、普遍的な世界が、生まれて来るからね。
サトミ ……………………!!
CASE 無理 という 合理
サトミ 解らないよりも、解っている方が、良いのよ。
マナミ ううん、歪めて解るより、解らない方が良い。
サトミ 嘘よ、解らない癖に、適当なこと言わないで!
マナミ 解れば、解るほど、無理になってしまうから。
サトミ 解るほど、解らなくなるって、どういうこと?
マナミ いつも、解りたいことしか、解らなければ、
逆に、解りたくなければ、解ろうとしないの。
サトミ つまり、好む原因しか、見とめていないと、
逆に、嫌う原因まで、見とめようとしないの?
マナミ そうよ、自らの原因でしか、判断しないから、
他の因を、受け容れることが、出来ないのよ。
サトミ 透っているか、否かでしか、判断しないから、
徹れない原因は、いつまでも、認められない?
マナミ そうね、知能とは、時間を通す認識だから、
疎れるか、通れないかで、判断するしかない。
サトミ ふ~ん、そんな話は、分かる気がしないけど。
マナミ じゃ、透せるなら解る、徹せないと解らない。
あなた、いつに為ったら、この話を認めるの?
サトミ あんたが、こっちに来たら、良いだけでしょ。
マナミ ……………………
CASE 合理 という 無理
アツシ 解り易くなると、裏で、解り難くなっている。
サトシ う~ん、どういうことかな、良く解らないよ。
アツシ それなら、1+1=2に、実感が生じるか?
サトシ 当り前だよ、1+1=2は、絶対に正しいよ。
アツシ それなら、1+1=3に、実感が生じるか?
サトシ ううん、1+1=3に、実感なんて生じない。
アツシ つまりな、AならばBに、実感が生じるとき、
その裏の、Aならば非Bに、実感が生じない。
サトシ そっか、AとBの因果を、認めているほど、
裏の、Aと非Bの関係など、認められないか。
アツシ そうだ、当然に見える、実感が湧いていても、
あくまで、条件を支える、因果に過ぎないぞ。
サトシ 確かに、因果を組めば、実感が湧き上るけど、
前提の条件が変ると、因果の実感も換るんだ。
アツシ そうだ、因果を解すると、実感が湧くから、
無前提に、正しく感じるが、条件付きなんだ。
サトシ なるほどね、言われてみれば、当り前だよね。
どうして、今まで、これが、解らなかったか。
アツシ おっと、実感に、溺れるのは、そこまでだ。
サトシ ……………………
CASE 合理なき無理 と 無理なき合理
サトミ 無理と合理、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 時間が偏る、無理って、どういうものかな?
メグミ 無理とは、好きな原因を、望んでいくことよ。
サトミ 時間が直る、合理って、どういうものかな?
メグミ 合理とは、嫌いな原因に、臨んでいくことよ。
サトミ 無理を望み、合理に臨まないと、どうなるの?
メグミ 合理なき無理なんて、唯の半解に過ぎないよ。
サトミ じゃ、時間が偏るだけ、時間が直らないの?
メグミ そうよ、一向に直さずに、知能を研けないよ。
サトミ 合理を望み、無理に臨まないと、どうなるの?
メグミ 無理なき合理なんて、只の無理に過ぎないよ。
サトミ じゃ、時間が直るだけ、時間が偏らないの?
メグミ そうよ、以降は直せずに、知能を磨けないよ。
サトミ 無理だけは、好きだけ、解ろうとするけど、
合理ばかりは、そもそも、解ろうとしないの?
メグミ うん、無理と合理、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、無理を負って、合理を追っていくの?
メグミ うん、無理を究めて、合理を極めていくのよ。
サトミ ……………………!!