物語編
第一章 第三一話 物語編
第一章 感性 と 理性
第三一話 因果を介する と 因果を解する
酒色に溺れて、友と摘まんで、酔い痴れるのか。
使命感に溢れて、敵を詰まして、酔い痴れるのか。
世間にしても、教団にしても、同じ罠に嵌っている。
地の権力に阿り、現世の利得を望んでいるのか。
天の権威を崇めて、来世の幸福に臨んでいるのか。
物質界にせよ、精神界にせよ、同じ轍を踏んでいる。
世間と教団は、全く違う事を勧めているようで、
構造だけ見れば、全く同じ物を進めていたわけだ。
否定するだろうが、鏡合わせの如く、瓜二つである。
上意下達の組織、白き者なら、言うまでもない。
知識を纏った、赤き者でも、全く解らないだろう。
使命に酔う方が、数段も優れると、否定するはずだ。
確かに、其の通りだが、問題は、其処ではない。
世の中と、同じ型を取っていれば、遅かれ早かれ、
同じ結末を、見てしまうことが、如何して解らない。
酒色に溺れている者に、破滅を訴えている者が、
世間を蔑んでいれば、破滅するのは我が身である。
眼前に栄光を吊るされ、破滅の先頭を進みたいのか。