第一章 第三三話 対話編
CASE 型 の裏に 形
マナミ 形に埋まれる、型って、どういうものなの?
マサシ 型とは、零から壱を創り、形を招じるものさ。
マナミ 型に生まれる、形って、どういうものなの?
マサシ 形とは、一から二を作り、型に生じるものさ。
マナミ それなら、型が生まれると、形が産まれるの?
マサシ そうさ、零から壱を創る、型が創られると、
そこから、一から二を作る、形が作られるよ。
マナミ さらに、一が重なるから、二から三になるの?
マサシ うん、形に形を重ねて、新たな形が作られて、
次々に、形に形が重なり、形が複雑になるよ。
マナミ どれだけ、表に現れる、形が変ったとしても、
裏に隠れる、共通する壱、型が埋れているの?
マサシ そうだよ、壱を創った物は、型に他ならない。
型を越える、形が現れる事は、有り得ないよ。
マナミ う~ん、型を越えることは、絶対ないのかな?
マサシ うん、型を超えたら、もはや、新たな型だよ。
マナミ う~ん、型を越える形、どこか、有ると思う。
マサシ うん、今まで、無かった、だけかもしれない。
「型を越える形」の型、君が創ってごらんよ。
マナミ ……………………!!
CASE 型 の先に 形
サトミ 形が生まれる、型って、どういうものかな?
メグミ 型は、深い意識に於いて、隠れているもので、
それ故、広い意味に置いて、共通するものよ。
サトミ それなら、型を悟るには、どうすれば良いの?
メグミ 直観を研き、広い条件まで、認めると良いよ。
サトミ 型が埋まれる、形って、どういうものかな?
メグミ 形は、浅い意識に於いて、隠れているもので、
それ故、狭い意味に置いて、共通するものよ。
サトミ それなら、形を悟るには、どうすれば良いの?
メグミ 直感を磨き、狭い条件だけ、認めると良いよ。
サトミ ということは、直感って、当てに為らない、
いつでも正しい、という訳じゃ、ないのかな?
メグミ 実はそうなの、自分だけとか、現在だけとか、
狭い条件だけで、成り立つ、実感が生じるの。
サトミ でも、「直感を大事に」って、言われるよね?
メグミ う~ん、直感に振り回されると、暴走するよ。
サトミ でもでも、色々な場所で、言われているよね?
メグミ 本当に、様々な条件で、言われているのなら、
それ、「直観を大事に」の方だと、思うけど。
サトミ ……………………!!
CASE 型 という 形
サトシ 一致している、型って、どういうものかな?
アツシ 型とは、現実に埋まれて、確定しないものだ。
サトシ 相違している、形って、どういうものかな?
アツシ 形とは、現実に生まれて、確定するものだな。
サトシ 解らない、具体的には、どういうことかな?
アツシ じゃあ、具体的なウマを、思い浮べられるか?
サトシ もちろん、ウマぐらい、見たことがあるもん。
アツシ まさに、そうして、浮んだものが、形なのさ。
君は、具体的に、どんなものか、言えるかな?
サトシ 長い顔、四本の脚、大きな蹄、長い尻尾かな。
アツシ まさしく、それらを、含んだものが、型だな。
サトシ じゃあ、それらを、含んでいるものとして、
型は、定義が決まり、確定するんじゃないの?
アツシ いいや、確定した途端、それは、形になるぞ。
サトシ あっ、確定させたら、もはや、型という形か。
アツシ そうだ、暫定的にしか、型は定義が出来ない。
サトシ なるほど、型という物が、解かった気がする。
はっきりと、型という物が、思い浮かぶんだ。
アツシ いや、そんなものは、型という形に過ぎない。
サトシ ……………………!!
CASE 形のない型 と 型のない形
サトミ 型と形、どちらの方を、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 形に埋まれる、型って、どういうものかな?
メグミ 型とは、深い意識にある、共通の条件なのよ。
サトミ 型に生まれる、形って、どういうものかな?
メグミ 形とは、浅い意識にある、特有の条件なのよ。
サトミ 型を重んじて、形を軽んじると、どうなるの?
メグミ 形のない型なんて、抽象的に偏ってしまうよ。
サトミ じゃ、型を徹しても、本質を観じるだけなの?
メグミ そうよ、形を通すから、現象を感じられるの。
サトミ 形を重んじて、型を軽んじると、どうなるの?
メグミ 型のない形なんて、具体的に偏ってしまうよ。
サトミ じゃ、形を徹しても、現象を感じるだけなの?
メグミ そうよ、型を通すから、本質を観じられるの。
サトミ 型だけでは、形を透して、型を感じないし、
形ばかりでは、型を徹して、形を観じないの?
メグミ そうよ、型と形、その両方が、必要になるの。
サトミ じゃ、型を介しながら、形を解していくの?
メグミ うふっ、形を解しながら、型を悟っていくの。
サトミ ……………………!!