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物語編

第一章 第三五話 対話編

CASE 具象 の裏に 抽象

 

マナミ 下位の概念、具象って、どういうものなの?
マサシ 具象とは、型が分けられ、形と化したものさ。
マナミ 型を分けて、形に変えると、どうなるのかな?
マサシ 具体的になり、解り易くなり、悟り難くなる。
マナミ 上位の概念、抽象って、どういうものなの?
マサシ 抽象とは、形が合わさり、型と化したものさ。
マナミ 形を合わせ、型に還えすと、どうなるのかな?
マサシ 抽象的になり、解り難くなり、悟り易くなる。
マナミ 良く解からない、具体的に、どういうこと?
マサシ たとえば、「A」という、上位の概念がある。
    この状態で、「A」という、概念が解るかい?
マナミ 分からないの、何のことだか、全く解らない。
マサシ 「食べられる」と「食べられない」に分けて、
    「食べられる」を選ぶとき「A」が解るかい?
マナミ 「A」は「食物」じゃないかって、分かるの。
マサシ 「パンである」と「パンでない」に分けて、
    「パンである」を選ぶとき「A」が解るかい?
マナミ うん、さっきよりも、分かるようになった。
マサシ そうさ、具体例だから、解かりやすくなるよ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 具象 の先に 抽象

 

サトミ リアルなもの、具象って、どういうものかな?
メグミ 具象的とは、解り易いけど、悟り難いものよ。
サトミ どうして、リアルなほど、解り易くなるの?
メグミ 陰陽に、分かれるから、因果を認め易いのよ。
サトミ その一方、前提に隠れる、条件を認め難いの?
メグミ そうよ、リアルに感じ、因果に巻き込まれる。
サトミ イデアなもの、抽象って、どういうものかな?
メグミ 抽象的とは、悟り易いけど、解り難いものよ。
サトミ どうして、イデアなほど、悟り易くなるの?
メグミ 陰陽を、合わせるから、条件を認め易いのよ。
サトミ その一方、前提に現れる、因果を認め難いの?
メグミ そうよ、イデアを観じ、因果に斬り込めない。
サトミ じゃ、分け無くてもダメ、分け過ぎてもダメ。
    う~ん、具体的に、どうすべきか解からない。
メグミ うん、抽象的な話を、聴いただけだからね。
    大丈夫、現実を通して、いずれ解って来るよ。
サトミ いきなり、悟ろうとしても、無理だもんね。
    具象に臨み、抽象を望む、これしかないのか。
メグミ うふっ、その調子で、現実を解して行ってね。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 具象 という 抽象

 

サトミ あるイデアを、分けていくと、どうなるわけ?
マナミ 分けるほど、そのイデアは、リアルになるの。
サトミ それなら、どんなふうに、リアルになるの?
マナミ そのイデアには、実感が有るって、感じるの。
サトミ そのリアルを、合せていくと、どうなるわけ?
マナミ 合せるほど、そのリアルは、クリアになるの。
サトミ それなら、どんなふうに、クリアになるの?
マナミ そのイデアには、実体が無いって、観じるの。
サトミ つまり、実感が有るって、感じていたのは、
    実際には、実体が有るって、囚われていたの?
マナミ うん、合わせて考えてみると、そうなるの。
サトミ じゃあ、別のイデアを分けると、どうなるの?
マナミ うん、たとえ、他のものでも、同じことなの。
サトミ じゃあ、どれも、これも、幻想に過ぎないの?
マナミ うん、リアルに見えようと、元はイデアなの。
    たとえ、実感が有っても、実体なんて無いの。
サトミ 嘘よ、すべてが幻想なんて、信じられない。
    そんな話、全くリアルに、聞えないんだけど。
マナミ じゃあ、クリアになるまで、合わせて考えて。
サトミ ……………………

 


 

CASE 抽象なき具象 と 具象なき抽象

 

サトミ 具象と抽象、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 形を象った、具象って、どういうものかな?
メグミ 具象とは、リアルである、形を現わすことよ。
サトミ 型を模った、抽象って、どういうものかな?
メグミ 抽象とは、イデアである、型を表わすことよ。
サトミ 具象を望み、抽象に臨まないと、どうなるの?
メグミ 抽象なき具象なんて、唯の有象に過ぎないよ。
サトミ じゃ、形に捕らわれて、型を捉えられないの?
メグミ そうよ、型を介さないと、形が増えるだけよ。
サトミ 抽象を望み、具象に臨まないと、どうなるの?
メグミ 具象なき抽象なんて、只の無象に過ぎないよ。
サトミ じゃ、型に囚らわれて、形を捕えられないの?
メグミ そうよ、形を解さないと、型が虚しいだけよ。
サトミ 具象だけは、形に偏り、有象無象になるし、
    抽象ばかりは、型に偏り、有象無象になるの?
メグミ うん、具象と抽象、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、抽象を介して、具象を解していくの?
メグミ うん、具象を解して、抽象を悟っていくのよ。

サトミ ……………………!!

 


 

CASE イデア という リアル

 

アツシ ウマを、ウマと認め得るのは、どうしてだ?
サトシ ウマには、ウマのイデアが、在るからなんだ。
アツシ ロバを、ロバと認め得るのは、どうしてだ?
サトシ ロバには、ロバのイデアが、在るからなんだ。
アツシ つまり、リアルの前に、イデアが在るんだな?
サトシ うん、先にイデアが在り、後にリアルが有る。
アツシ じゃあ、ウマとロバの子の、イデアは何だい?
サトシ その仔には、ラバという、イデアが在るんだ。
アツシ じゃあ、ラバとロバの子の、イデアは何だい?
サトシ その仔には、リバという、イデアが在るんだ。
アツシ じゃあ、リバとロバの子の、イデアは何だい?
サトシ その仔には、ルバという、イデアが在るんだ。
アツシ おいおい、そのイデア、後から作ってないか?
    もはや、そんな物は、イデアというリアルだ。
サトシ うん、ばれちゃったか、必要に応じて作った。
アツシ いいや、それで良い、イデアに実体は無い。
サトシ イデアを、悟るために、リアルに解すけど、
    結局は、実体が無いって、イデアに還るだけ?
アツシ ああ、それが、クリアになるまで、繰り返す。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE リアル という クリア

 

サトシ 実感を与える、イデアって、どういうもの?
アツシ イデアとは、実体の無い、一元なるものだな。
サトシ 実感に塗れる、リアルって、どういうもの?
アツシ リアルとは、実感の有る、二元なるものだな。
サトシ 実感を越える、クリアって、どういうもの?
アツシ クリアとは、実感の有る、一元なるものだな。
サトシ それなら、イデアとリアル、何が違うのかな?
アツシ それは、分ける前と分けた後、その違いだな。
サトシ それなら、リアルとクリア、何が違うのかな?
アツシ それは、合せる前と合せた後、その違いだな。
サトシ それなら、イデアとクリア、何が違うのかな?
アツシ それは、実感無しと実感有り、その違いだな。
サトシ どちらも、一元であるから、実体が無いけど、
    二元を、解した後ならば、実感が有るのかな?
アツシ 最初から、実体が無いならば、実感が無いが、
    介した後は、実体が無いという、実感が有る。
サトシ 即ち、無数のイデアが、リアルに解るほど、
    全てに、実体が無いって、クリアに悟るのか!
アツシ ああ、まさに、それが、イデアのイデアだな。
サトシ ……………………!!

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