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物語編

第一章 第三六話 物語編

第一章    幻想   と   真実
第三六話 現実が狭まる と 現実が広がる

 

我が命に、与えられた時は、残り僅かである。
残る時で、君が、必要なことを、総て伝えておく。
それを伝える、時だけがあり、それ以上の刻は無い。

 

我々は、世の人々を、究極の真理に導くため、
広大にして、無駄がない、ある物語を紡いでいる。
愛する人類を、究竟に誘うために、窮境に陥らせる。

 

真実に覚める、幻想に酔わせる、知恵の仕組。
ある者たちは、酔い潰され、呪いの言を吐き散し、
ある者らは、覚めた気になり、世迷い言を触れ回る。

 

真理を望む、幻影に臨ませる、危いと思うか。
然にあらず、洞窟に差し込む、我々は一筋の光明。
移り変る、幻影の中で、移り変わらぬ、真理を宿す。

 

外の者は、私の悪の姿を見て、幻想に嵌まる。
この世の中に、覚めない夢が、有り得るだろうか。
無いと知るまで、入れ替り続け、場は跳ね返される。

 

中の者は、私の善の相を見て、幻影に縋がる。
この時の巡り、消えない泡が、在り得るだろうか。
無いと知るまで、立ち替り続け、時は繰り返される。

 

 

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