第一章 第三六話 対話編
CASE 幻想 の裏に 真実
マナミ 変化し易い、幻想って、どういうものなの?
マサシ 幻想とは、成立の条件が、狭い現実のことさ。
マナミ 変化し難い、真実って、どういうものなの?
マサシ 真実とは、成立の条件が、広い現実のことさ。
マナミ う~ん、良く解からないの、どういうこと?
マサシ 昔は、大地は平面だって、思われていたけど、
今では、大地は球面だって、想われているね。
マナミ うん、平面は幻想であり、球面が真実なの。
マサシ ううん、真実を言えば、そうではないんだよ。
実は、平面も現実であり、球面も現実なのさ。
マナミ じゃあ、幻想も真実も、現実ということなの?
マサシ うん、球面説は現実、平面説は非現実である、
片方の現実しか、認めないのが、幻想なのさ。
マナミ 逆に、球面説も現実、平面説も現実であると、
両方の現実を、認めているのが、真実なのね。
マサシ そうさ、条件が変わると、現実が換わると、
条件の違いを、認められるのが、真実なのさ。
マナミ そっか、従来の考え方って、幻想だったのね。
マサシ こらこら、そういう考え方が、幻想なんだよ。
マナミ ……………………!!
CASE 幻想 の先に 真実
サトミ 酔っている、幻想って、どういうものかな?
メグミ 幻想とは、幻影に浸って、世界を見ることよ。
サトミ じゃあ、幻影を使って、非Aを認めないの?
メグミ うん、Aが前提に隠れた、現実を造り上げる。
サトミ つまり、Aが絶対に正しい、世界が表れるの?
メグミ そうだよ、Aに実感が有ると、感じられるの。
サトミ 覚めている、真実って、どういうものかな?
メグミ 真実とは、幻影を超えて、世界を見ることよ。
サトミ じゃあ、幻影を越えて、非Aを見とめるの?
メグミ うん、Aの前提が現れて、現実が崩れ始める。
サトミ つまり、Aが相対で正しい、世界が表れるの?
メグミ そうだよ、Aに実体が無いと、観じられるの。
サトミ 幻想は、Aだけ正しいって、感じる世界で、
真実では、非Aも正しいって、観じる世界ね?
メグミ 幻想は、表だけ正しいって、捕えているけど、
真実では、裏まで正しいって、捉えているの。
サトミ そっか、実感が有ると感じると、幻想であり、
逆に、実体が無いと観じると、真実なんだね。
メグミ こんな、実体が無い話、実感できるの凄いよ。
サトミ ……………………!!
CASE 幻想 という 真実
メグミ 近頃、顔を黒く焼くのが、流行っているのよ。
サトミ そうよ、今は色白より、色黒が流行ってるわ。
メグミ うん、この流れが、予想以上に膨れ上がり、
今から、十年後には、専門店まで出来るのよ。
サトミ うん、現実を見る限り、絶対に、そうなるわ。
メグミ そうね、この状態が、幻想に捕われる状態よ。
近頃、爪に絵を描くのが、流行っているのよ。
サトミ うそよ、爪に絵を描いても、誰も見ないわよ。
メグミ でも、この流れが、想像以上に膨れ上がり、
今から、十年後には、専門店まで出来るのよ。
サトミ うそ、現実を見る限り、絶対、そうならない。
メグミ でもね、この状態も、幻想に囚われる状態よ。
サトミ じゃ、どんな価値観も、幻想に過ぎないの?
メグミ そうよ、どんな世界観も、幻影に過ぎないよ。
サトミ じゃ、捕らわれないで、通り過ぎるべきかな?
メグミ ううん、囚らわれないと、真実に気づけない。
サトミ すべてが、幻想であるって、真実を悟るため、
一旦、幻想に捕われることも、必要なのかな?
メグミ うふっ、それこそ、幻想に囚われない状態よ。
サトミ ……………………!!
CASE 真実 という 幻想
サトミ ねぇ、あたしの宗教、あなたも信じてみない?
アツシ その宗教を、どうして、君は信じているんだ?
サトミ どうしてって、これこそ、真実の教えだから。
真実だから、あなたに、信じて欲しいわけよ。
アツシ それなら、真実の教えを、君は信じればいい。
俺まで、巻き込む必要など、無い筈だけどな。
サトミ そうかな、真実というものは、人に教えたい、
好きな人と、共有がしたいって、思うでしょ?
アツシ 逆だろう、その宗教が、本当に真実ならば、
そんなこと、想う前から、共有している筈だ。
サトミ じゃ、誰かと共有をしたい、そう思う時点で、
それは、誰とも共有してない、幻想なのかな?
アツシ ああ、それは、真実という、幻想に過ぎない。
サトミ あ~ん、じゃあ、真実は、どういうものなの?
アツシ いつでも、誰とも、共有しているものだな。
サトミ じゃあ、あなたの信じる、真実って、何なの?
ねぇ、あなたの世界を、あたしも信じたいの。
アツシ いいか、そういう幻想は、必ず壊れてしまう。
君が、それを認められたら、一緒の世界だな。
サトミ ……………………!!
CASE 幻想 と 現実 と 真実
サトシ 崩壊し易い、幻想って、どういうものかな?
アツシ 幻想とは、成立の期間が、短い現実のことだ。
サトシ 崩壊し難い、真実って、どういうものかな?
アツシ 真実とは、成立の期間が、長い現実のことだ。
サトシ 幻想にしても、真実にしても、現実なのかな?
アツシ そうだ、たとえ、幻想の世界に囚われても、
その人から見れば、現実であると考えている。
サトシ 流石に、幻想を見ていれば、幻想と気づくよ。
アツシ いや、現実感が有るから、幻影とは悟れない。
サトシ う~ん、それは、本当かな、信じられないな。
アツシ それなら、君が見ている、この世界も幻想だ。
実感が、溢れているが、幻想と認められるか?
サトシ 無理だよ、そんなわけが、有るはずないもん。
アツシ ほらな、幻想と悟れる者は、滅多に居ない。
だが、実際は、すべてが、実体の無い幻想だ。
サトシ むしろ、それを悟ることが、唯一の真実なの?
アツシ ああ、そうだけど、別に、認めなくても良い。
サトシ う~ん、これが、真実なら、信じてみるかな。
アツシ それだけ、壊れ易いなら、認め易いだろうな。
サトシ ……………………
CASE 真実なき幻想 と 幻想なき真実
サトミ 幻想と真実、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの?
サトミ 条件が狭い、幻想って、どういうものかな?
メグミ 幻想とは、片方の条件で、成り立つものだよ。
サトミ 条件が広い、真実って、どういうものかな?
メグミ 真実とは、両方の条件で、成り立つものだよ。
サトミ 幻想を望み、真実に臨まないと、どうなるの?
メグミ 真実なき幻想なんて、唯の夢想に過ぎないよ。
サトミ じゃ、表だけ感じても、裏まで観じないの?
メグミ そうよ、裏まで認めると、夢から覚めるのよ。
サトミ 真実を望み、幻想に臨まないと、どうなるの?
メグミ 幻想なき真実なんて、只の無想に過ぎないよ。
サトミ じゃ、裏まで観じても、表すら感じないの?
メグミ そうよ、表すら認めずに、少しも想えないよ。
サトミ 幻想だけでは、幻を見ても、真に覚めない。
真実ばかりでは、夢を認めず、実を悟れない。
メグミ うん、幻想と真実、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、幻想を介して、真実を解いていくの?
メグミ うん、幻想に臨んで、真実を望んでいくのよ。
サトミ ……………………!!