物語編
第一章 第三八話 物語編
第一章 論理 と 感情
第三八話 因と果の関係 と 因と果の実感
〔無智が払われるとき、光り輝く一元が蘇える。
一元は、絶対の境にして、イデアを司る世であり、
二元とは、相対の地にして、リアルを司る界である。〕
〔今の時代、絶対のものなど、何ひとつないと、
人の世が、相対の罠に嵌り、虚無が蔓延っている。
思いのまま、虚を実に変える、詭弁家が現れ始めた。〕
〔そこで、地上の世界の、釣り合いを取るため、
敢えて、私は、相対性を捨てて、絶対性を重んじ、
絶対の真理を説く、狂気の教祖を演じる事になった。〕
〔リアルに仕える私が、相対を忘れると思うか。
否、相対を忘れた振りを、私は演じているだけだ。
片側の陣営を演じ切るため、国家に非情に敵対する。〕
〔イデアを覚える私が、絶対を諦めると思うか。
否、絶対に人を導こうと、私は務めているだけだ。
絶対の境地に人を誘うため、教団に断固と固執する。〕
〔相対を越える、絶対に達する、相対を演じる。
演技の最中に、神々の台本を、破られてはならず、
湧き上がるパトスこそ、書き上げたロゴスを活かす。〕
襲い掛る怒涛の修辞に、追い着けないでいると、
時の縛りを緩めよう、面白いものを見せてやると、
師は後ろ手に組み、辺りを一周して再び向い合った。