第一章 第三八話 問答編
マサシ 論理(ロゴス)とは、どういうものですか?
アキラ ロゴスは、因果に生じる、関係であり、
共有できて、専有できない、道理である。
たとえば、赤色の光線は、Aで振動をする。
この論理は、共有が出来て、専有は出来ない。
マサシ 感情(パトス)とは、どういうものですか?
アキラ パトスは、因果に生じる、実感であり、
専有できて、共有できない、感覚である。
たとえば、Aで振動するとき、赤が見える。
この感覚は、専有が出来て、共有は出来ない。
マサシ イデア(型)とは、どういうものですか?
アキラ イデアは、現象に隠れる、観念のこと。
例えば、赤リンゴ、青リンゴ、黄リンゴ。
様々なリンゴを、リンゴと認められるのは、
現象の中に、リンゴの型が隠れるからである。
マサシ リアル(形)とは、どういうものですか?
アキラ リアルは、観念に現れる、現象のこと。
例えば、リンゴそのものは、存在しない。
にもかかわらず、リンゴと認められるのは、
観念の外に、リンゴの形が現れるからである。
マサシ アテナイの学堂とは、どういうものですか?
アキラ ラファエロに描かれた、群像画のこと。
ギリシャの哲学者が、一堂に会していて、
中央の左側に、哲学者プラトンが描かれて、
中央の右側には、アリストテレスが描かれる。
マサシ プラトンが天を指すのは、如何してですか?
アキラ 観念の界である、イデアの世界にこそ、
真理があることを、指し示すからである。
真実を望むことなく、現実に臨んでいても、
いつまで臨んでも、真理は悟れないと考える。
マサシ アリストテレスが地を指すのは、何故ですか?
アキラ 現実の界である、リアルの世界にこそ、
真理があることを、指し示すからである。
現実に臨むことなく、観念を望んでいても、
どこまで臨んでも、真理は悟れないと考える。