第一章 第三九話 問答編
マサシ 論証(ロンショウ)は、どういうものですか?
アキラ 論証とは、意味に訴える、証明であり、
因果を辿る、ロゴスによる、説明である。
論証の長所は、共有が出来て、冷めにくい。
論証の短所とは、時間が掛かり、熱しにくい。
マサシ 実証(ジッショウ)は、どういうものですか?
アキラ 実証とは、意識に訴える、証明であり、
条件に遡る、パトスによる、説明である。
実証の長所は、時間が掛らず、熱しやすい。
実証の短所とは、共有が出来ず、冷めやすい。
オウウ あなたの色が着くことは、ありませんか?
マコト 真理とは、在りのままの、道理であり、
私を含めて、誰かの意見ではありません。
数式の証明を解して、色は着かないように、
真理の証明を介しても、色は憑いてきません。
神の子の教えとして、有り難がったり、
自らで解することなく、信じ切るならば、
たとえ、真の理だろうと、魔に憑かれます。
言の力が、魔に遣かわれて、邪に使われます。
だからこそ、法を業に変えないように、
強い力を宿す、深遠なる教えになるほど、
それを解く者は、その姿を消して行きます。
神の言を、魔が用いると、この世の地獄です。
オウウ 我を表に出し、法を説く者は、誤まりですか?
マコト 内なる神を悟れば、成し得なくなるし、
神が不在だからこそ、為し得ることです。
魔が憑いた者ほど、神の御名を語りたがり、
自らを善人であると、信じ切って疑いません。
チクゴ どうすれば、悟ることが、出来るのですか?
マコト 真理は、この世界を、真我から見たら、
どの様に、見えるのか、解き明かします。
従って、真理を見とめて、見方を改めれば、
少しずつ、偏りが直されて、悟りが生じます。
現在、小さな悟りに、辿り着いた方は、
書籍を、繰り返し読む、行に励んでます。
一周目は、何も分からず、脳裏を過ぎ去り、
三周目位に、引っ掛り始め、理解が始ります。
読み続けても、頭に入らない箇所では、
その内容が、現実の世界に映って来ます。
逃げ出さずに、現実の問題として解ければ、
その法の理解が、急速に進むように成ります。
つまり、言葉で覚るか、経験で悟るか。
どちらも、覚悟を持てば、覚醒を得ます。
彼らは、真剣な人々ですが、普通の人です。
優秀ゆえ、覚悟に至った、訳では在りません。