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物語編

第一章 第四十話 物語編

第一章    助産   と   出産
第四十話 外から助ける と 内から産れる

 

老師は、私の背後から、私の方に視線を戻した。
右手で顎髭を撫でながら、左手で私の肩に触れて、
呆けてしまうのも解るがと、笑って、耳元で囁いた。

 

君も、後ろの君でも、解らないかもしれんが、
これ自体、この現実の世界と、二千年後の世界が、
この瞬間に、同時に存在し得る、実証となっている。

 

これは、君から見ても、実証に足りぬだろう。
しかし、後の君から見れば、実証に足りていよう。
明らかに、この差を作り出す、次元の壁が存在する。

 

あたかも、未来から過去は、見とめられても、
その逆に、過去から未来は、認められないように、
決して、低次からは、高次は見えない、封印がある。

 

この岩戸を開くために、二千年の時を要する。
今、後ろに集まる指導霊に、教えを預けておくが、
その真意を理解するには、膨大な体験が必要となる。

 

経験が無ければ、決して、実感は生まれない。
論理を以って、結論を示すのは、指導の霊であり、
実際的に辿って、実感を産むのは、本人の意である。

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