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物語編

第一章 第四二話 対話編

CASE 利 の裏に 害

 

マサシ 利が生まれるとき、害が埋まれているのさ。
    害のない利もないし、利のない害もないのさ。
マナミ 害が埋まれる、利って、どういうものなの?
マサシ 利とは、理から生まれる、善い面のことだよ。
マナミ 利が埋まれる、害って、どういうものなの?
マサシ 害とは、理から産まれる、悪い面のことだよ。
マナミ 道理から、生まれる実感に、善悪が有るの?
マサシ 元より、理そのものには、善悪は無いんだ。
    恣意的に、理を辿るものが、善悪に分けるよ。
マナミ 例えば、1+1=2には、実感が有るけど、
    それって、善と悪には、分けてない状態なの?
マサシ そうさ、一方、2は偶数、という、実感を、
    善と悪に、分けるとき、利と害に別れるのさ。
マナミ 偶数なのか、奇数なのか、そんなことって、
    善いとか、悪いとかと、関係ないと思うけど。
マサシ そうさ、どうでも良いのに、捕われるのさ。
マナミ 一旦、囚われてしまうと、利害を考えるのね。
マサシ まさに、そういう君も、一旦、捕われたら、
    それこそ、この瞬間から、考えるようになる。
マナミ ……………………

 


 

CASE 利 の先に 害

 

メグミ 実はね、全ての利の裏に、必ず害が在るのよ。
サトミ そんなの、ウソだよね、絶対に認めたくない。
メグミ 例えば、ある利を望むと、どんな害が生じる?
サトミ 裏に、その利が得られない、害が埋まれるの。
メグミ 例えば、ある利を得ると、どんな害が生じる?
サトミ 裏に、その利が損なわれる、害が埋まれるの。
メグミ 例えば、あらゆる利には、どんな害が生じる?
サトミ 裏に、そういう利ではない、害が埋まれるの。
    う~ん、害が埋まれない、利なんて無いのか。
メグミ うん、突き詰めたら、その結論に至るけど、
    逆にね、突き詰めると、一つだけ現れるのよ。
サトミ うそ、存在しているなら、ちゃんと教えてよ。
メグミ わたしが、教えたって、受け容れられないよ。
    自分で、突き詰めないと、受け容れられない。
サトミ 大丈夫よ、それって何なの、あたしに教えて。
メグミ じゃあ、教えるけど、すべてを受け容れるの。
サトミ えっ、そんなのウソよ、そんなの詰まらない。
メグミ うふっ、利を突き詰めると、必ず害になる。
    真の理を、受け容れることが、真の利なのよ。
サトミ ……………………

 


 

CASE 利 と 理 と 害

 

サトシ 因果を観じる、理って、どういうものかな?
アツシ 理とは、在りのまま、陰陽を観じることだな。
サトシ 因果を感じる、利って、どういうものかな?
アツシ 利とは、思いのまま、陽だけ感じることだな。
サトシ 因果を感じる、害って、どういうものかな?
アツシ 害とは、思いのまま、陰だけ感じることだな。
サトシ それなら、望むものだけ、臨んでいたいけど、
    いずれ、望んでないものに、臨んでしまうの?
アツシ ああ、在りのままに観じれば、その通りだな。
サトシ でもな、僕は望むものだけ、臨めると思うよ。
アツシ ああ、思いのままに感じれば、その通りだな。
    どうして、君は、そう思うようになったんだ?
サトシ だって、偉い人が、そう言っていたからだよ。
    この世は、望んでいるから、臨んでいるって。
アツシ じゃあ、偉い人は、こうも言ってなかったか?
    この世は、臨んでいないと、臨んでしまうと。
サトシ それは、聞いたことない、きっと、嘘だもん。
アツシ ああ、思いのまま感じれば、その通りだな。
    でもな、在りのまま観じれば、この通りだな。
サトシ ……………………

 


 

CASE 害のない利 と 利のない害

 

サトミ 利と害、どちらの方を、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 理を良く見る、利って、どういうものかな?
メグミ 利とは、理を観じながら、良く感じることよ。
サトミ 理を悪く見る、害って、どういうものかな?
メグミ 害とは、理を観じながら、悪く感じることよ。
サトミ 利を重んじて、害を軽んじると、どうなるの?
メグミ 害のない利なんて、単なる暴利に過ぎないよ。
サトミ じゃ、良く感じると、理に囚われるのかな?
メグミ そうよ、悪く感じない、理に捕らえられるよ。
サトミ 害を重んじて、利を軽んじると、どうなるの?
メグミ 利のない害なんて、単なる無理に過ぎないよ。
サトミ じゃ、悪く感じると、理を辿れないのかな?
メグミ そうよ、良く感じない、理は捉えられないよ。
サトミ 利だけでは、利を捕えて、理に縛られるし、
    害ばかりでは、害を捉えて、理を把れないの?
メグミ そうよ、利と害、その両方が、必要になるの。
サトミ じゃ、害を負いながら、利を追っていくの?
メグミ うふっ、利を望みながら、害に臨んでいくの。
サトミ ……………………!!

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