物語編
第一章 第四六話 物語編
第一章 時代 と 次代
第四六話 今に表われる と 次に現われる
〔彼を見る者は、彼を通して、自らの姿を見る。
慢を抱く者は慢を見て、欲に溺れる者は欲を見る。
善きも悪しきも、鏡に吐いた言は、自らに跳ね返る。〕
〔彼を蔑む善霊よ、そして、彼を崇める悪霊よ。
地獄界に馳せる、彼の名とは、閻魔の法王であり、
知恵の実を司りし、彼の法とは、自業の自得である。〕
〔汝らは、あまり、彼に拠り過ぎない方が良い。
汝らが、この世界を、独断で善と悪に分けるから、
彼は、世界の隅々まで、応報を解き明かしに出向く。〕
〔彼が、時を速めなければ、手遅れになるまで、
愚か者は、善と悪を積み重ね、天と地を引き裂く。
時を司りし、彼の名は、大いなる時、大黒天である。〕
〔善を積んで、何が悪いかと、不満が聴こえる。
無駄に長い寿命と、無智が覆う境界に支えられて、
汝らは、善と悪が入れ替わるとは、露程も思わない。〕
〔永遠に善が続くと思うか、沈まない陽はない。
永久に悪が栄えると想うのか、白まない闇もない。
傲慢さ故に、無智に覆われ、汝らは真理が見えない。〕