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物語編

第一章 第四九話 対話編

CASE 倫理 の裏に 道理

 

マナミ 何々すべき、倫理って、どういうものなの?
マサシ 倫理とは、因果を解かず、是非を説くものさ。
    例えば、Aすると良いけど、Aしないと悪い。
マナミ どうして、是非だけで、因果は解かないの?
マサシ 現在が、苦しい人に、根拠は要らないからさ。
マナミ 苦しい理由を、辿ってないと、どうなるの?
マサシ 理を解さず、害が過ぎると、利に溺れるのさ。
    あたかも、喉元過ぎれば、熱さを忘れる様に。
マナミ 何々である、道理って、どういうものなの?
マサシ 道理とは、是非を説かず、因果を解くものさ。
    例えば、AするとAであり、Aしないと非A。
マナミ どうして、因果だけで、是非は説かないの?
マサシ 現在が、楽しい人に、忠告は届かないからさ。
マナミ 正しい選択に、沿ってないと、どうなるの?
マサシ 理を介して、利が消えると、害が現れるのさ。
    さながら、徒に使ったら、財が罪になる様に。
マナミ う~ん、道理だけで良いね、倫理なんて要る?
マサシ 君は、苦しんでないから、そう思うだろうね。
    これは、飽くまで君に、道理を解いたまでさ。
マナミ ……………………

 


 

CASE 倫理 の先に 道理

 

サトミ 是非を説く、倫理って、どういうものかな?
メグミ 倫理とは、自由を認めない、教え方のことよ。
サトミ 因果を解く、道理って、どういうものかな?
メグミ 道理とは、自由を見とめる、教え方のことよ。
サトミ う~ん、倫理と道理、どっちが良いのかな?
メグミ どっちも、必要だから、どっちでも良いのよ。
サトミ そんなのは、ダメだって、どっちかにしてよ。
メグミ どっちかなら、最初は、倫理を選べば良いよ。
    そうすれば、次第に、倫理の限界が見えるの。
サトミ 倫理では、越えられない、壁が在るってこと?
メグミ 無理に抑え、欲望が収まると、思っている?
サトミ もちろん、収まるわ、そのための倫理だもん。
メグミ 実際は、抑えるだけで、収まりはしないの。
    だからね、いつか、必ず、欲が爆発するのよ
サトミ いつか、欲望に負けて、失敗を犯すってこと?
メグミ うん、その失敗から学ぶ、それが道理なのよ。
サトミ ううん、その失敗は、倫理で防げるはずだよ。
メグミ うん、そう考えるなら、自由にすれば良いよ。
    失敗するまで待つよ、そのための道理だもん。
サトミ ……………………

 


 

CASE 倫理 という 道理

 

サトシ 貧しい時代は、どのように、次代を育てるの?
マサシ 余裕が無いから、失敗しない、教育をするよ。
サトシ 問答無用で、正しくしなさいと、教えるの?
マサシ そうさ、絶対的な価値観で、躾けられるのさ。
サトシ 厳しくして、子供が逆らったり、しないかな?
マサシ 苦しい時には、厳しくしても、逃げられない。
サトシ 甘やかして、失敗をさせて、学ばせないの?
マサシ こんな時、過ちを犯せば、戻って来れないよ。
サトシ 豊かな時代は、どのように、次代を育てるの?
マサシ 余裕が有るから、失敗させる、教育をするよ。
サトシ 自由意志で、好きにしなさいと、教えるの?
マサシ そうさ、相対的な価値観で、選ばされるのさ。
サトシ 厳しくして、子供を導こうと、しないのかな?
マサシ 楽しい時には、厳しくしてたら、逃げていく。
サトシ 甘やかして、失敗をさせたら、手間じゃない?
マサシ こんな時こそ、子を通して、自らも学ぶのさ。
サトシ そっか、苦しい時は、答えから学ぶべきで、
    逆に、楽しい時は、過ちから学ぶべきなのか。
マサシ 余裕が、無さそうだから、答えてしまったよ。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 道理 という 倫理

 

サトミ 倫理は、因果を解かず、是非が説かれるのよ。
サトシ どうして、倫理では、因果を解かないのかな?
サトミ 厳しい時代は、根拠を解く、余裕が無いのよ。
サトシ 正しいから、正しいんだ、黙って従えって?
    僕は、理由も解らず、順うなんて、嫌だなあ。
サトミ あっそ、そんなことは、どうでも良いのよ。
サトシ 冷たいな、僕の事なんて、どうでも良いんだ。
サトミ 道理は、是非を説かず、因果が解かれるのよ。
サトシ どうして、道理では、是非を説かないのかな?
サトミ 優しい時代は、因果を辿る、余裕が有るのよ。
サトシ 実際に、体験をして、是非を確めろってこと?
    失敗して、後悔しても、自分の責任ってこと?
サトミ そうよ、さっき、あんたが、選んだ道でしょ。
サトシ 冷たいな、僕の事なんて、どうでも良いんだ。
サトミ 理由を知りたいって、あんたが言ったのよ。
    だからこそ、こうして、道理を解いているの。
サトシ そっか、そう言われてみたら、そうだった。
    僕は、厳しく言って貰った方が、良いのかな?
サトミ もうっ、良いのかな、でなく、良いんでしょ!
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 道理なき倫理 と 倫理なき道理

 

サトミ 倫理と道理、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 利を教える、倫理って、どういうものかな?
メグミ 倫理とは、理を解さない、教え方のことだよ。
サトミ 理を授ける、道理って、どういうものかな?
メグミ 道理とは、利を介さない、育て方のことだよ。
サトミ 倫理を望み、道理に臨まないと、どうなるの?
メグミ 道理なき倫理なんて、唯の干渉に過ぎないよ。
サトミ じゃ、利を教えるけど、理を授けないのかな?
メグミ そうよ、理を解さないと、自ら辿れなくなる。
サトミ 道理を望み、倫理に臨まないと、どうなるの?
メグミ 倫理なき道理なんて、只の放任に過ぎないよ。
サトミ じゃ、理を授けるけど、利を教えないのかな?
メグミ そうよ、利を介さないと、誰も辿らなくなる。
サトミ 倫理だけでは、理を解さず、道を進めないし、
    道理ばかりでは、利を介さず、道を勧めない?
メグミ うん、倫理と道理、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、倫理を介して、道理を解していくの?
メグミ うん、倫理を究めて、道理を極めていくのよ。
サトミ ……………………!!

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