物語編
第一章 第五二話 物語編
第一章 平等 と 変化
第五二話 状態を捉える と 過程を捕える
〔隣りに、Aであると、教えを説く者が居れば、
その隣りに、Aでないと、教えを解く者が現れる。
どの入口にも、この道こそ、天に至ると刻まれよう。〕
〔世の人は、取り揃えられた、品書きの中から、
最も好ましい、入り口を選んで、中に進んで行く。
扉の言を信じて、誰もが先の、天の国を夢見ながら。〕
〔しかし、進めば進むほど、人々は苦しくなり、
やがて、訪れると聞いていた、その時が訪れない。
ようやく、騙されたと気づいて、入口の門番を怨む。〕
〔我が子よ、ここで、はっきりと、言っておく。
悪いのは、彼ではない、彼を選んだ、自分である。
Aであるを認め、Aでないは認めない、自身である。〕
〔Aの門から入るなら、非Aの扉から出てきて、
非Aなる戸から入るなら、Aなる口から出てくる。
あらゆる道は、その道中で、反転していると心得よ。〕
〔何故なら、両者を認めるのが、真の道だから。
真理とは、Aでも、非Aでも、どちらも良いこと。
片方を、認めないことから、あらゆる不幸が始まる。〕
〔Aと非Aを、平等に認めると、知恵が生じる。
同時に見えないものを、平等に見とめるためには、
道のすべて、その過程を、すべて見とめるしかない。〕