第一章 第五六話 対話編
CASE 固定 の裏に 変化
マナミ 積み重ねる、固定って、どういうものなの?
マサシ 固定とは、自我に表れる、性質のことなのさ。
自我は、変化を避けるため、自然を固定する。
マナミ じゃ、自然を固定すると、自我は安定するの?
マサシ 確かに、安定するけど、安定するからこそ、
自ずから、積み重なって、移り変ってしまう。
マナミ 移り変わる、変化って、どういうものなの?
マサシ 変化とは、自然に現れる、性質のことなのさ。
自然は、停滞を避けるため、自然と変化する。
マナミ じゃ、自然が変化すると、自我が経験するの?
マサシ 確かに、経験するけど、経験するからこそ、
自ずから、移り変わって、積み重ねてしまう。
マナミ 即ち、変化する自然に、固定する自我が現れ、
様々な、経験をするのが、大自然の仕組なの?
マサシ うん、固定を介して、様々な意識が表れて、
さらに、変化を解して、色々な意味が現れる。
マナミ その中の、ひとつとして、自分は存在する。
マサシ それも、現在の自分に、固定する必要はない。
いかなる、自我にも、自然に変化していくよ。
マナミ ……………………!!
CASE 固定 の先に 変化
サトミ どうして、自我って、安定しようとするの?
メグミ 自我は、器が小さくて、同じ物だけ集めるの。
違う物は、違和を感じて、切り捨てるでしょ。
サトミ 自我が、安定するため、自然を固定するわけ?
メグミ うん、固定するほど、積み重なる様になり、
確かに、安定するけど、移り変わる様になる。
サトミ どうして、自然って、変化しようとするの?
メグミ 自然は、器が大きくて、違う物まで容れるの。
違う者も、親和を観じて、受け容れるでしょ。
サトミ 自我が、経験するため、自然は変化するわけ?
メグミ うん、変化するほど、移り変わる様になり、
確かに、経験するけど、積み重なる様になる。
サトミ じゃ、自然を固定したい、自我は変化して、
反対に、自我を変化させる、自然は固定する?
メグミ うん、安定したい自我は、不安になるけど、
反対に、変化させる自然は、安定しているの。
サトミ じゃ、自我と自然の性質って、乖離するけど、
いずれ、両者が交り合って、合致していくの?
メグミ 今だって、自然から認めれば、一致するのよ。
サトミ ……………………!!
CASE 固定 という 変化
サトシ 僕を含めて、自我って、なかなか変わらない。
アツシ そうだな、自我の本質が、安定だからだろう。
サトシ 自我が司る、固定って、どういうものなの?
アツシ 固定とは、等しいものが、積み重なることだ。
サトシ 自然が司る、変化って、どういうものなの?
アツシ 変化とは、異なるものに、移り変わることだ。
サトシ 自我が、自然を固定すると、どうなるのかな?
アツシ 固定した、意味が切り取られ、自我に重なる。
サトシ 自我が、経験を蓄積すると、どうなるのかな?
アツシ 記憶として、重ね続けるから、変化が生じる。
サトシ 自然に、自我が変化すると、どうなるのかな?
アツシ 変化した、意識が抱え込まれ、自然が変わる。
サトシ 自然が、万物を包含すると、どうなるのかな?
アツシ 全体として、受け容れるから、固定が生じる。
サトシ 面白いね、固定を究めると、変化に極められ、
反対に、変化が極められると、固定に究まる。
アツシ この、大自然の本質が、君にも分かったか。
サトシ 解かった、面白いぐらい、考え方が変わった。
アツシ 君も含めて、自然って、なかなか固まらない。
サトシ ……………………!!
CASE 変化なき固定 と 固定なき変化
サトミ 固定と変化、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 固まること、固定って、どういうものかな?
メグミ 固定とは、自我を持って、表れてくるものよ。
サトミ 変わること、変化って、どういうものかな?
メグミ 変化とは、自然を以って、現れてくるものよ。
サトミ 固定を望み、変化に臨まないと、どうなるの?
メグミ 変化なき固定なんて、不自由に過ぎないのよ。
サトミ じゃ、安定を追っても、進化を負わないの?
メグミ そうよ、自我を纏うため、不自由になるのよ。
サトミ 変化を望み、固定に臨まないと、どうなるの?
メグミ 固定なき変化なんて、不安定に過ぎないのよ。
サトミ じゃ、進化を追っても、安定を負わないの?
メグミ そうよ、自然に迷うため、不安定になるのよ。
サトミ 固定だけは、自我に寄って、不安に為るし、
変化ばかりは、自然に酔って、不安に為るの?
メグミ うん、固定と変化、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、固定を介し、変化を解していくの?
メグミ そうなの、変化に臨み、固定を望んでいくの。
サトミ ……………………!!