物語編
第一章 第五七話 物語編
第一章 善 と 悪
第五七話 良くを究める と 飽くを極める
「梵天の主よ、九分九厘に逆らう、一厘の仕組、
神意を解しても、神威を介さず、十分に広まるか。
神を介さない法が、如何して、人口に膾炙しようか。」
〔汝を哀れに思い、神が威を貸せば、その刹那、
汝は、唯一の出口から、多数の入口に繰り下がる。
我が子を教祖に奉る、粗末な宗教が増えるに止まる。〕
〔初めこそ、汝は、法友もあり、神通もあるが、
最終の生には、孤立無援となって、最下層に沈み、
汝が労して、手に入れるものが、悉く壊れてしまう。〕
〔この世に、神なぞ居ないのか、汝は天を憎む。
このとき、汝は、天涯孤独の、彼の使命を解して、
誰も解けなかった、彼の密命を、説けるようになる。〕
〔汝を、最も悩ませるのは、類魂の邂逅だろう。
ようやく、長い旅路の先、同じ系譜の魂に逢うも、
彼らは、汝を労うどころか、敵と共に汝を嘲笑する。〕
〔型を演じる、彼らに罪はない、汝は地を許す。
このとき、汝は、岩戸隠れの、神の御心を解して、
誰も説けなかった、神の封印を、解けるようになる。〕