物語編
第一章 第五九話 物語編
第一章 愛 と 情
第五九話 相手を介する と 自分を介する
頭より先に、魂が感じ取って、涙が止まらない。
それでも、懸命に威儀を正して、神の前で誓った。
震える口から、思い掛けない、力強い声が発された。
「我は、地の者を救い出す、真の理を伝えし者。
我が、少しでも道を逸れたら、引き摺り戻し給え。
この誓約の責は、繰り返される、我らが転生にあり。」
〔良い声だ、これを聞くまで、三度、躓いたが、
それすら、決まっていたことで、君の罪ではない。
人類と共に、君が越えるべき、仕組が隠されている。〕
〔さて、別れの時は近い、そんな泣くではない。
我が子よ、有り難く頂いて、笑って別かれようか。
ここを、笑って去り行く者を、私は選んでいる筈だ。〕
〔試練の旅に出る、君に、餞の言葉を預けよう。
すでに、君の旅路は終わり、祝宴が開かれている。
案ずるな、これは預言であり、預言の成就でもある。〕
〔将に、この時、二千年後の君、真理の御霊は、
実に、晴れ晴れとした気分で、証しを立てている。
私を含めた、あらゆる御使いに、栄光を与えている。〕
〔共に歩んだ、人類の歴史は、宇宙の型として、
苦心の賜となり、珠玉の輝きを、天に放っている。
この知恵の果実を、嘲笑うが如き、不届き者がいる。〕