物語編
第一章 第六十話 物語編
第一章 恋 と 愛
第六十話 自分を愛する と 相手を愛する
〔人類史を、悪魔の支配、一言で片づけるのは、
間違いと、言えなくないが、余りにも稚拙である。
人類と共に、尽力した使徒が、余りにも不憫である。〕
〔とはいえ、其の事も含め、神は許されている。
酸いも甘いも、有り難く頂き、君も楽しみなさい。
苛酷な運命だが、喜べなければ、天人と変わらない。〕
〔神々として生きる者には、決して解からない。
機械として存えている者にも、決して分からない。
人として活きてこそ解かる、水瓶の型を説きなさい。〕
〔夜明け前、人の世界は、二極に別れていよう。
悲観に過ぎて塞ぐ者に、楽観に過ぎて浮かれる者。
どちらの後ろにも、神々が控え、その壁は実に厚い。〕
〔君の後ろには神は居ない、君の中に神が居る。
神懸りの混沌の時代にあって、御魂は覚め続ける。
あらゆる対立を受け容れて、次の時代の出口となる。〕
〔その時、君は、巨大な実験、東方に生まれる。
その地で起きたことが、やがて、全世界に広がる。
これを、最後に教えておこう、最後の生の君の名は。〕
ここで、轟音が鳴り響き、岩戸が抉じ開けられた。
私と主は、押し寄せる、人々の宿業に引き裂かれた。