ＣＡＳＥ　恋　の裏に　愛

マナミ　幻に塗れている、恋って、どういうものなの？
マサシ　恋とは、自分を映した、相手を愛することさ。
マナミ　恋は、相手を透して、自分を愛しているの？
マサシ　そうさ、相手を使って、自分に支えているよ。
マナミ　じゃ、楽が多ければ、相手と歓び会えても、
　　　　いずれ、苦が増えると、相手と援け合えない？
マサシ　うん、楽だけ分かち合い、苦は別ち会えない。
　　　　恋とは、幻だけ持ち寄った、幻想の絆なのさ。
マナミ　幻を超えている、愛って、どういうものなの？
マサシ　愛とは、自分に移した、相手を愛することさ。
マナミ　愛は、自分を通して、相手を愛しているの？
マサシ　そうさ、自分を遣って、相手に仕えているよ。
マナミ　じゃ、楽が多ければ、相手と喜び会えるし、
　　　　いずれ、苦が増えても、相手と助け合えるの？
マサシ　うん、楽も分かち合えば、苦も別かち会える。
　　　　愛とは、幻から抜け出した、真実の証なのさ。
マナミ　じゃ、夢と現を分けると、恋と愛が別れるの？
マサシ　そうさ、幻に捕われて、恋愛に囚われたのさ。
　　　　それこそ、幻を越えれば、真の愛に変わるよ。
マナミ　……………………！！

ＣＡＳＥ　恋　の先に　愛

サトミ　酔って愛する、恋って、どういうものかな？
メグミ　恋とは、幻想に捕われて、相手を思うことよ。
サトミ　酔わず愛する、愛って、どういうものかな？
メグミ　愛とは、幻想に囚われず、相手を想うことよ。
サトミ　そうすると、恋であろうと、愛であろうと、
　　　　どちらも、心を捉えることは、同じなのかな？
メグミ　心を捕えると、恋と愛が、同時に生じるし、
　　　　心を囚えないと、愛と恋が、同時に滅するよ。
サトミ　じゃ、心を使えていると、愛が表われるし、
　　　　反対に、心が支えてくると、恋が現われるの？
メグミ　捉えても、捕われないと、愛に留まるけど、
　　　　捕えてから、囚らわれると、恋に止まるのよ。
サトミ　なるほど、愛を楽しんで、心を使っていると、
　　　　次第に、恋に苦しんで、心が疲れてくるのね。
メグミ　うん、心が楽しめるのは、先の方だけなの。
　　　　だから、心が苦しくなれば、振り返らないと。
サトミ　そもそも、心を認めない方が、良かったの？
メグミ　ううん、心が幻に堕ちなければ、良かったの。
　　　　真の愛に、幻が混じったから、恋に落ちたの。
サトミ　……………………！！

ＣＡＳＥ　恋　という　愛

サトミ　ねぇ、あたし、あなたのことが、大好きなの。
アツシ　それは、とても、光栄なことだが、そろそろ、
　　　　君は、俺のことを、愛してないと認めてくれ。
サトミ　ううん、こんなにも、あなたを愛しているの。
アツシ　君は、恋してはいるが、愛してはいないんだ。
　　　　夢の中、俺を登場させて、好いているだけだ。
サトミ　あたしが、自分勝手な、あなたを作り上げて、
　　　　思いのまま、好きにする、そういうことなの？
アツシ　そうだな、君が想うような、俺なんて居ない。
サトミ　いやよ、そんな酷いこと、言わないで欲しい。
アツシ　いや、厳しいことを言うが、それが現実だな。
サトミ　じゃあ、目の前に現れている、あなた誰なの？
アツシ　甘い理想を、魅せ憑ける、幻想の俺でなく、
　　　　厳しい現実を、見せ付ける、真実の俺なんだ。
サトミ　確かに、あなたのことを、好きになってから、
　　　　いつでも、あなたと会うと、嫌なことばかり。
アツシ　そうだろう、俺のことが、嫌いになったか？
サトミ　どうかな、好きでもないし、嫌いでもないな。
アツシ　やっと、夢から覚めたな、好きにしてくれよ。
サトミ　……………………！！

ＣＡＳＥ　愛のない恋　と　恋のない愛

サトミ　恋と愛、どちらの方を、重んじるべきかな？
メグミ　どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ　幻想に塗れる、恋って、どういうものかな？
メグミ　恋とは、相手に映された、自己を愛すことよ。
サトミ　幻想を越える、愛って、どういうものかな？
メグミ　愛とは、自己に移された、相手を愛すことよ。
サトミ　恋を重んじて、愛を軽んじると、どうなるの？
メグミ　愛のない恋なんて、浮れた恋に過ぎないのよ。
サトミ　じゃ、幻想に酔って、真実が見えなくなるの？
メグミ　そうよ、外側が見えず、恋が窘められるのよ。
サトミ　愛を重んじて、恋を軽んじると、どうなるの？
メグミ　恋のない愛なんて、覚めた愛に過ぎないのよ。
サトミ　じゃ、幻想に寄らず、真実が見えてしまうの？
メグミ　そうよ、内側が見えて、愛が試めされるのよ。
サトミ　恋だけでは、浮き過ぎて、周りが笑うだけ。
　　　　愛ばかりでは、覚め過ぎて、静かに笑うだけ。
メグミ　そうよ、恋と愛、その両方が、必要になるの。
サトミ　じゃ、恋を負いながら、愛を追っていくの？
メグミ　うふっ、恋を究めながら、愛に極めていくの。
サトミ　……………………！！