物語編
第二章 第二話 物語編
第二章 天 と 地
第二話 気が洗われる と 気が表われる
魂が抜け出して、自力では立ち上がれなかった。
両脇を抱えられて、情けない姿で引き摺られると、
地を支える足が現れ、その先には、あの彼が現れた。
『俺が言ってなければ、巻き込まれていた所だ。
遅かったじゃないか、如何な、老師に逢えたのか。
俺が認められない、老子を、君は見とめられたのか。』
地上の人々にとっても、天上の神々にとっても、
当然、私にとっても、大事な者を奪い去ったのに、
気安く話し掛けて来る彼を、私は正視出来なかった。
様々な思いが噴き出して、俯いたままでいると、
彼には、只それだけで、察するものがあったのか、
ゆっくり、近づいて、私の顎を持って上を向かせた。
私は慌てて目を伏せたが、逆にそうすることで、
目の奥ばかりか、心の奥まで、覗き込まれていた。
一瞬で、すべてを、見抜かれたことに、気が付いた。
覗かれた私も驚いたが、覘いた彼も愕いていた。
そして、たった二十分でか、と、独り言を言うと、
彼は、目を閉じて腕を組むと、長く深い息を吐いた。