第二章 第四話 対話編
CASE 虚 の裏に 実
マナミ 曖昧なること、虚って、どういうものなの?
マサシ 虚とは、陰と陽を分けず、実感が無いことさ。
マナミ どうして、陰陽を別けないと、実感が無いの?
マサシ それは、因果を分けないと、意味が解らない。
即ち、意識し別けないと、実感が湧かないよ。
マナミ 意識を介さず、意味を解さない、虚になるの?
マサシ そうさ、虚とは、意識しない、意味のことさ。
マナミ 明確なること、実って、どういうものなの?
マサシ 実とは、陰と陽を分けて、実感が有ることさ。
マナミ どうして、陰陽を別けると、実感が生じるの?
マサシ それは、因果に分けると、意味が解るからさ。
即ち、意識し別けると、実感が湧いてくるよ。
マナミ 意識を介して、意味を解すると、実になるの?
マサシ そうさ、実とは、意識をする、意味のことさ。
マナミ それなら、本来的には、意味が有るものでも、
そこに、意識が対わないと、虚になるのかな?
マサシ そうだよ、意識が向かうとき、実になるのさ。
マナミ すると、虚実の有無って、意識の有無なの?
マサシ うん、気づいた様だね、実に、こういう訳さ。
マナミ ……………………!!
CASE 虚 の先に 実
サトミ 模糊なること、虚って、どういうものかな?
メグミ 虚とは、陰と陽を介して、分けてないことよ。
サトミ 陰と陽を、良く別けないと、どうなるのかな?
メグミ 意味が、良く解からないから、虚になるのよ。
サトミ 意識せず、捕えているから、虚に遷るのかな?
メグミ そうよ、意識を介してないと、虚に映るのよ。
サトミ 明瞭なること、実って、どういうものかな?
メグミ 実とは、陰と陽を解して、分けていることよ。
サトミ 陰と陽を、良く別けるほど、どうなるのかな?
メグミ 意味が、良く解ってくるから、実になるのよ。
サトミ 意識して、捉えているから、実に移るのかな?
メグミ そうよ、意味を解していると、実に写るのよ。
サトミ じゃ、意識が向かうと、意味が実になるし、
反対に、意識が離れると、意味が虚になるの?
メグミ うん、意味を望むから、意識は実になるし、
反対に、意味に臨まない、意識は虚になるの。
サトミ じゃ、分かる解からないは、意識次第なのね。
そっか、解かり易かったから、良く解ったよ。
メグミ 良かった、でも、それさえ、あなた次第なの。
サトミ ……………………!!
CASE 虚 という 実
サトシ 良く解している、実って、どういうものかな?
マサシ 実とは、意識を介して、意味を解することさ。
サトシ 意として、実とするには、どうすれば良いの?
マサシ 意識をして、陰なら隠して、陽なら現すのさ。
サトシ どうして、実を究めると、虚に極められるの?
マサシ 完全に、陰だけが消えると、どうなると思う?
サトシ 陽の中に、新たな陰を招じて、分れると想う。
マサシ そうさ、新しい虚が生じて、解らなくなるよ。
サトシ 良く解してない、虚って、どういうものかな?
マサシ 虚とは、意識を介さず、意味を解さないのさ。
サトシ 意とせず、虚とするには、どうすれば良いの?
マサシ 意識をせず、陰でも隠さず、陽でも現さない。
サトシ どうして、虚を極めると、実に究められるの?
マサシ 完全に、陰と陽が混じると、どうなると思う?
サトシ 陰と陽が、新たな陽を招じて、合さると想う。
マサシ そうさ、新たな実が生じて、解るようになる。
サトシ 虚と実は、行ったり来たりを、繰り返すのか。
そっか、良く考えていたら、良く解かったよ。
マサシ 実は、良く意識するとは、良く考えることさ。
サトシ ……………………!!
CASE 実 という 虚
サトシ この絵、白を見ると、お姉さんが見えるし、
逆に、黒を見ていると、お婆さんが見えるよ。
マサシ そうさ、そんな絵を、騙し絵って言うのさ。
サトシ どうして、こんな風に、見えてしまうのかな?
マサシ 誰でも、何かを見るとき、何かが見えてない。
即ち、白を見れば黒、黒を見れば白が消える。
サトシ つまり、表の色を見て、裏の色を見てないの?
マサシ うん、そうしないと、意味が解からないのさ。
サトシ じゃあ、良く解かりたいときは、どうするの?
マサシ 白と黒を、良く分けることで、明快に変える。
サトシ じゃあ、良く解かりたくないと、どうするの?
マサシ 白と黒を、良く分けないまま、曖昧に止める。
サトシ つまり、実の時は、白も黒も良く見えるし、
その逆に、虚の時は、黒も白も良く見えない。
マサシ でもね、実を言ったら、そんな明快じゃない。
何故なら、虚と実は、すぐに入れ替わるから。
サトシ ええっ、それって、一体、どういうことなの?
ようやく、解りかけたのに、分らなくなった。
マサシ うん、こうしないと、次の意味が解からない。
サトシ ……………………
CASE 実のない虚 と 虚のない実
サトミ 虚と実、どちらの方を、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 曖昧なるもの、虚って、どういうものかな?
メグミ 虚とは、意を介さず、意を解さないことだよ。
サトミ 明確なるもの、実って、どういうものかな?
メグミ 実とは、意を介して、意を解することなのよ。
サトミ 虚を重んじて、実を軽んじると、どうなるの?
メグミ 実のない虚なんて、単なる実に過ぎないのよ。
サトミ じゃ、曖昧に思うと、気に懸けてしまうの?
メグミ そうよ、意味が解けず、意識が溶けないから。
サトミ 実を重んじて、虚を軽んじると、どうなるの?
メグミ 虚のない実なんて、単なる虚に過ぎないのよ。
サトミ じゃ、明確に想うと、気に掛けなくなるの?
メグミ そうよ、意味が解けて、意識が溶けるからね。
サトミ 虚だけは、気に為るから、実に遷るだけで、
実ばかりは、気に為らない、虚に移るだけか。
メグミ そうよ、虚と実、その両方が、必要になるの。
サトミ じゃ、虚を介しながら、実を解していくの?
メグミ うふっ、虚を感じながら、実を観じていくの。
サトミ ……………………!!