物語編
第二章 第六話 物語編
第二章 矛 と 盾
第六話 理の突き詰め と 理の塗り固め
『而して、境界の内と外を、行き来していると、
大よそ、教団の中の有り様を、解する事が出来た。
何のことはない、外でも中でも、同じ事をしている。』
『例えば、物質界では、誰もが物を望みたがり、
それを見て、精神界では、度が低いと思いたがる。
物ばかり望み、心に臨まぬ、世間を俗と呼んでいる。』
『しかし、物の仕組みにせよ、心の仕組にせよ、
それを使い、欲を充たすならば、何ら変わらない。
物質の世界を貶める、精神の世間の方が、度が低い。』
『例えば、外の世界は、誰もが財を望みたがり、
それを見て、中の人々は、欲が深いと蔑んでいる。
先の不安から、財を貯める、人の思いが分からない。』
『しかし、現世の安定にせよ、来世の安寧でも、
不安を覚え、未来に備えるなら、何ら変わらない。
現世で飽き足りず、来世に繰り越す方が、欲が深い。』
『外に向けた矛が、すべて跳ね返って来ている。
それゆえ、ますます、盾を磨き上げる要が生じる。
最強の盾は、矛を収めることと、何故、気づかない。』