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物語編

第二章 第六話 対話編

CASE 矛 の裏に 盾

 

マナミ 最強を望むもの、矛って、どういうものなの?
マサシ 矛とは、理を突き詰め、利を攻め取るものさ。
マナミ 矛を持ち、利を望むのは、どういう意識なの?
マサシ 思いのまま、利を重んじる、浅い意識なのさ。
マナミ 最強に臨むもの、盾って、どういうものなの?
マサシ 盾とは、理で塗り固め、利を守り通すものさ。
マナミ 盾を持ち、理に臨むのは、どういう意識なの?
マサシ 在りのまま、理を重んじる、深い意識なのさ。
マナミ じゃ、利に被われる、表層を掘り進めると、
    いずれ、理に覆われる、深層に突き当たるの?
マサシ うん、思いのままの矛と、在りのままの盾が、
    自ずから、衝突し合い、自己矛盾が生じるよ。
マナミ 最強の矛と、最強の盾は、どちらが勝つの?
マサシ 自ずから、起きているから、自分次第なのさ。
マナミ つまり、利を望むならば、表層まで戻って、
    その逆に、理に臨むならば、深層へと進むの?
マサシ そうさ、どちらを選ぶか、自分との闘いだよ。
マナミ そう、あなたに言われても、信じられないの。
マサシ 矛って、自らに向けずに、人に向けるからね。
マナミ ……………………

 


 

CASE 矛 の先に 盾

 

サトミ 虚を突くもの、矛って、どういうものかな?
メグミ 矛とは、建前を剥ぎ取り、本音に迫るものよ。
サトミ 表層から、深層を暴くには、どうするのかな?
メグミ 理を持って、無理を探したら、発き出せるよ。
サトミ 実を守るもの、盾って、どういうものかな?
メグミ 盾とは、本音を包み込む、建前を造るものよ。
サトミ 表層から、深層を隠すには、どうするのかな?
メグミ 理を以って、合理を装ったら、匿し通せるよ。
サトミ なるほど、矛を使うにせよ、盾を遣うにせよ、
    どちらでも、理を用いるのは、違い無いのね。
メグミ 思うまま、理を使うと、矛盾が隠れていき、
    在りのまま、理を遣うと、矛盾が現れてくる。
サトミ 我が矛で、我が盾を突くと、どうなるのかな?
メグミ 他を攻めた、矛で突かれ、自己矛盾するのよ。
サトミ 他に言ったら、自ら行って、自己言及するの?
メグミ うん、それを見とめると、真相が現れるのよ。
サトミ 本当に、言っていることを、遣ってしまうの?
    そこまで、思いのままに、矛盾が現れるかな?
メグミ うふっ、在りのままだから、この通りだよね。
サトミ ……………………

 


 

CASE 矛 という 盾

 

サトシ 暴こうとする、矛って、どういうものかな?
アツシ 矛とは、理で突き詰めて、矛盾を発くものだ。
サトシ 鋭い矛で、他を攻め通すと、どうなるのかな?
アツシ 矛盾を、自と他の対立として、外界に捕える。
サトシ 鋭い矛で、我に責め徹すと、どうなるのかな?
アツシ 矛盾を、昔と今の対立として、内界に捉える。
サトシ 隠そうとする、盾って、どういうものかな?
アツシ 盾とは、理で塗り固めて、矛盾を匿すものだ。
サトシ 硬い盾で、我を守り通すと、どうなるのかな?
アツシ 矛盾を、自と他の対立として、外側に捕える。
サトシ 硬い盾で、他を護り徹すと、どうなるのかな?
アツシ 矛盾を、昔と今の対立として、内側に捉える。
サトシ 我を守り、他を攻めると、対立が続くけど、
    他を護って、我を責めると、対立が終わるの?
アツシ ああ、周りを含めると、矛盾は溶けないが、
    反対に、自らに止めると、矛盾は解けていく。
サトシ なるほど、外を巻き込むと、解決しないのか。
    すべて、自分で解決する、僕に出来るのかな?
アツシ おいおい、言われた傍から、矛盾しているぞ。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 自 己 矛 盾

 

マナミ 誰でも、意識の中に、自己矛盾を抱えるの。
サトミ そんなの、あんただけ、あたしは抱えないわ。
マナミ ううん、条件が緩いなら、隠しておけるの。
    でも、条件が厳しくなると、暴かれてしまう。
サトミ じゃあ、自己矛盾を隠すには、どうするの?
マナミ 自と他の、相の対立として、矛盾を捕えるの。
サトミ じゃあ、自己矛盾を暴くには、どうするの?
マナミ 表と深の、層の対立として、矛盾を捉えるの。
サトミ つまり、表層の意識が、Aを観じているとき、
    その、深層の意識は、非Aを感じているわけ?
マナミ そうよ、他我に映せば、深層は隠せるけど、
    逆に、他我に移せないと、真相が暴かれるの。
サトミ じゃあ、真相が暴かれると、どうなるわけ?
マナミ 人に、言っていることを、自ら行なっている。
    つまり、究極の自己矛盾が、明らかになるの。
サトミ そんなに、露骨だったら、誰でも認めるわよ。
マナミ ううん、巧妙に隠して、なかなか認めないの。
サトミ そんなの、あんただけよ、あたしは認めるわ。
マナミ ううん、そういうあなたも、ほら、認めない。
サトミ ……………………

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