物語編
第二章 第六話 問答編
マサシ 故事「矛盾」とは、どういうものですか?
アキラ 昔、楚の国に、矛と盾を売る者が居た。
彼は、自らの売り物を、自慢して言った。
「我が矛は、如何なる盾でも貫いてしまい、
我が盾は、如何なる矛でも防いでしまう」と。
それを聞いた者が、このように言った。
「そう言うことなら、あなたの矛をして、
あなたが持つ盾を突いたら、どうなるのか」
すると、矛盾を売る者は、何も言えなかった。
マサシ 矛(ホコ)とは、どういうものですか?
アキラ 矛は、理で突き詰め、利を選び抜いて、
逆鱗を覆っている、建前を剥ぎ取るもの。
矛と盾が剋し合うと、矛盾が湧き上がって、
その下に隠されている、深層の扉が開かれる。
マサシ 盾(タテ)とは、どういうものですか?
アキラ 盾は、理で塗り固め、利を守り抜いて、
逆鱗を覆っている、本音を固く持すもの。
矛と盾が擦れ違うと、矛盾が湧き上がらず、
その下に隔されている、真相の鍵が閉される。