物語編
第二章 第七話 問答編
マサシ 故事「墨守」とは、どういうものですか?
アキラ 宋の国が、楚の国に攻撃を受けていた。
墨子は、宋の国を守るため、使者として、
楚の国を訪れ、楚の王に停戦を申し込んだ。
王は、模擬戦に勝てたら、考えようと言った。
九回戦い、墨子は、すべて守り通した。
楚王は、墨子を殺してしまおうとしたが、
「私を殺そうとも、弟子が守るだろう」と、
墨子にも宋にも、手を出す事が出来なかった。
マサシ 攻(コウ)とは、どういうものですか?
アキラ 攻は、我が外にある、利を求めながら、
我が虚を責めずに、他の虚を攻めること。
他の虚を攻めて、我が虚が虚に止まるため、
内なる利が腐って、自ずと外から責められる。
マサシ 守(シュ)とは、どういうものですか?
アキラ 守は、我が内にある、利を求めながら、
他の虚を攻めずに、我が虚を責めること。
我が虚を責めて、我が虚が実に変わるため、
内なる利が実って、自ずと内から充たされる。
ヨウコ 自己否定をしても、全く充たされません。
「自己否定」と「自己の虚を責める」こと。
これらの違いについて、詳しく教えて下さい。
マコト 自己の虚を責めて、自己を実に変える。
すなわち、「自己の虚を責める」意義は、
自己肯定であり、自己否定ではありません。
他を攻めず、自らを責めるほど、安定します。
たとえば、何が問題が起こったときに、
偶然と考えたり、他の責に帰したりせず、
必然と見とめたり、我が責に見とめるほど、
器が大きくなり、精神が安定し充たされます。