第二章 第九話 問答編
マサシ 礼(レイ)は、どういうものですか?
アキラ 礼は、責任を負う時、自由を追うこと。
責任に臨んでも、不自由を望まないこと。
自らが責任を被り、他に不自由を強いれば、
その途端に、礼が廃れて、令に墜ちてしまう。
マサシ 義(ギ)とは、どういうものですか?
アキラ 義は、自由を追う時、責任を負うこと。
自由を望んでも、無責任に臨まないこと。
自らが自由を望み、他に責任を被せるなら、
その瞬間に、義が廃れて、偽に墜ちてしまう。
カナコ 自らの責任は、自らの手にしか負えない。
これは、良く解かるのですが、その一方で、
他の責任まで、どうして自らが負うのですか?
マコト 小乗の段は、我が責任を、自らが負い、
大乗の階では、他の責任を、自らが負う。
小乗を修めた後、大乗を修めて行きますが、
小乗は欲を収めて、大乗は智と徳を修めます。
即ち、徳を培い、器が大きくなるほど、
自分が大きくなり、他者を含み始めます。
ですから、他の責を負うは、間違いであり、
どんなときも、我が責を追っているだけです。
シナノ 真剣に学びたいとき、自己紹介が必要ですか?
マコト この地は、一対一で、真理と向き合う、
静かな神社の如き、神聖なる会堂であり、
誰が訪ねたか、何を尋ねたかは、明白です。
各自、内なる神に臨んで下されば、結構です。
シナノ 神主さん、巫女さんに、声掛けが必要ですか?
マコト ここに、限ったことではありませんが、
筒抜けですから、その必要はありません。
私たちは、内なる神の使いに過ぎないため、
必要なものに限り、十分に与えられています。