物語編
第二章 第十一話 物語編
第二章 獣性 と 人性
第十一話 法を破るもの と 法を守るもの
『あたかも、俺が、この地下に潜り込んだ如く、
破格なる者を、天が、この地上に送り込んで来た。
この対処を間違えれば、人の世は禽獣の世と化する。』
『老人が被った、変幻自在の仮面に魅せられて、
激情に押し流され、老子を裁くことは簡単だろう。
しかし、それは、すでに、道士の術中に嵌っている。』
『貴様は、ここの信者を、根絶やしてしまえば、
この事案は解決すると、俺が考えていると思うか。
そんな甘い懸案なら、俺が身を窶して潜む迄もない。』
『ここで起きた事は、やがて世界に降り掛かる。
正しく対処すれば、世界が建て直されるだろうが、
原型で過ちを犯せば、万物が過ちで象られるだろう。』
『ここで負えない分は、やがて増幅して蘇える。
千の者を勢いで滅ぼせば、万の者に殖えて甦ろう。
小さいと侮り、力で捻じ伏せれば、倍返しを喰らう。』
『老子は、本能なる、剥き出しの感情を使って、
世の人々を、この世界の型に、誘びき寄せている。
無意識に、潜入した俺まで遣い、世間を巻き込んだ。』