物語編
第二章 第十一話 問答編
マサシ 故事「朝三暮四」とは、どういうものですか?
アキラ 宋国に、猿が好きで飼育する者が居て、
彼と猿は、互いに気持ちが理解が出来た。
彼は、家が貧しくなったため、猿に言った。
「朝に三つに、夕に四つで、足りるだろうか」
猿は、餌が減っていると、怒り出した。
そこで、彼は、このように、言い換えた。
「朝に四つ、夕に三つで、足りるだろうか」
すると、猿は、餌が増えたと、今度は喜んだ。
マサシ 朝三暮四(チョウサンボシ)とは?
アキラ 飼っている猿に、餌の実を与えるとき、
朝に三、暮に四を与えると、猿は怒って、
朝に四を、夕に三を与えると、猿は喜んだ。
即ち、利を追っていると、理を追えないこと。
マサシ 獣(ジュウ)は、どういうものですか?
アキラ 獣とは、欲を抑えずに、法を破るもの。
獣の性は、利を追っても、理を負わない。
理は、誰か利を追うと、誰か害を負うこと。
獣の世の中は、利を奪い合い、害を与え合う。
マサシ 人(ジン)とは、どういうものですか?
アキラ 人とは、欲を押さえて、法を守るもの。
人の性は、利を追っても、理まで負える。
理は、皆に利が巡ると、皆の害が減ること。
人の世の中は、利を譲り合い、害を抑え合う。