物語編
第二章 第十二話 物語編
第二章 天法 と 人法
第十二話 例外の無い法 と 例外の有る法
『この世だけ、俺が見ていると、貴様は思うか。
人の世しか、見えない者には、人の法だけ説くが、
天の方まで見える者には、天の法を解く用意がある。』
『偶然か必然か、最後の最後に、訪問した貴様。
生霊や聖霊として、道士を守りし、優秀なる眷属。
見えはしないが、縦横に巡らされた、天の法の仕掛。』
『これらの、不自然なる自然、全て勘案すれば、
貴様と老子が、岩戸の中で、取り交わした契約を、
白日の下に、晒さぬ限り、如何なる処断も適わない。』
『老子が、狂人の如く、見えてしまう理由とは、
偏えに、時を早めてまで、全てを晒し上げるから。
曖昧を許さず、民が言い訳をする、余地を与えない。』
『にもかかわらず、岩戸に隠した、最後の仕組。
これに関しては、隔すばかりで、解こうとしない。
一厘の仕組が、解けない限り、俺は正しく裁けない。』
『さあ、岩戸に何を埋めたか、解いて貰おうか。
老師の最後の弟子よ、いや、老子の愛する息子よ。
我が君の前で、埋蔵し秘法を、掘り起こして貰おう。』