clear
clear
物語編

第二章 第十三話 対話編

CASE 法 の裏に 業

 

マナミ ねぇ、ダルマ、法って、どういうものなの?
マサシ 法とは、天が創りしもの、天の理のことだよ。
マナミ じゃ、自然が創造するのは、どういうもの?
マサシ 自然に、陽が生まれると、陰が埋まれている。
マナミ 自ずから、後になると、陰が産まれてくるの?
マサシ そうさ、陽の後になって、陰が表われるのは、
    天に依る、自然の理だから、業を積んでない。
マナミ じゃ、カルマ、業って、どういうものなの?
マサシ 業とは、人が作りしもの、人の理のことだよ。
マナミ じゃ、自我が想像するのは、どういうもの?
マサシ 無理に、陽が生まれると、陰が産まれてくる。
マナミ 自ずから、待たないで、陰を産ませていくの?
マサシ そうさ、陽と対になって、陰が現われるのは、
    人に拠る、自我の理だから、業を積んでいる。
マナミ 在りの侭を、思いの儘に、歪めて来た分だけ、
    業として、自我の中に、積み重なっているの?
マサシ そうさ、この天の理、君は自然に観じられる?
マナミ うん、この真の理、私は美しく感じられるの。
マサシ それは、君の自我が、汚れてない証しなのさ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 法 の先に 業

 

サトミ 我を越えるもの、法って、どういうものかな?
メグミ 法とは、在りのままに、委ねる理のことだよ。
サトミ 我に塗れるもの、業って、どういうものかな?
メグミ 業とは、思いのままに、歪める理のことだよ。
サトミ そもそも、天の法という、在りのままがあり、
    それに倣い、人の法という、法を作るわけね。
メグミ そうよ、でも、少しずつ、逸れてしまうから、
    思いのまま、歪んでしまい、法が業になるの。
サトミ それなら、法が業になるのは、どういうとき?
メグミ 法が説かれ、法に捕われて、自我に返る時よ。
サトミ それなら、業が法になるのは、どういうとき?
メグミ 業が解かれ、業に囚われず、自然に還る刻よ。
サトミ つまり、業の報いは、自我に返るようになり、
    逆に、法の酬いは、自然に還るようになるの?
メグミ 実際は、いつだって、自然に還っているの。
    でも、歪んでいるから、自我に返ってしまう。
サトミ そっか、報いたから、酬いられているだけ。
    そう、見とめたら、敢えて説かなくて良いね。
メグミ うふっ、解けたかな、もう、説かなくて良い?
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 法 という 業

 

サトシ 人が作るもの、法って、どういうものかな?
マサシ 法とは、理を解して、欲を越えることなのさ。
サトシ 欲に塗れた人が、法を説くと、どうなるの?
マサシ 法を知って居れば、越えなくて、良いという、
    悪しき型となり、法ではなく、業が広まるよ。
サトシ 人を作るもの、業って、どういうものかな?
マサシ 業とは、理を介して、欲に塗れることなのさ。
サトシ 欲に溺れた人が、業を解くと、どうなるの?
マサシ 罪を犯した者でも、改めるなら、良いという、
    善い型となって、業ではなく、法が広がるよ。
サトシ ということは、同じ理でさえも、実体がなく、
    法になることも、業になることも、有るのか。
マサシ そうだよ、囚われるなら、法も業に変わるし、
    反対に、改めるならば、業も法に換わるのさ。
サトシ じゃ、思いのままに、法を説いてしまうと、
    却って、業に縛られて、説かない方が良いね。
マサシ 最悪とは、法を説く事を、生業に選ぶことさ。
サトシ う~ん、そういう人なんて、沢山いそうだよ。
マサシ うん、そういう人が改めれば、善い型になる。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 法 と 理 と 業

 

サトシ 因と果による、理って、どういうものかな?
アツシ 理は、陰と陽である、因と果を結ぶものだな。
サトシ 因と果に依る、法って、どういうものかな?
アツシ 法とは、在りのまま、因と果を正すものだな。
サトシ 因と果に拠る、業って、どういうものかな?
アツシ 業とは、思いのまま、因と果を歪めるものだ。
サトシ 理に捕われると、理が偏って、業に為って
    理に囚われないと、理が直って、法に成るの?
アツシ そうだな、法と業は、理に生じる、表と裏だ。
サトシ う~ん、解らないから、具体的に説明してよ。
アツシ そうだな、それなら、交差点で信号を守るか?
サトシ 当然さ、交通の法規は、真面目に護らないと。
アツシ それなら、誰も居なくて、赤信号で停まるか?
サトシ 当然さ、赤なら止まれ、それが交通の法だよ。
アツシ 本来、交通の法とは、交通を円滑にするもの。
    元より、円滑だったら、法は要らなくないか?
サトシ いやいや、どんな時でも、法は守らないとね。
アツシ それが、法が業に変わって、囚われた状態だ。
サトシ いやいや、どんな刻でも、法は護らないとね。
アツシ ……………………

 


 

CASE 業のない法 と 法のない業

 

サトミ 法と業、どちらの方を、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 陰と陽が直る、法って、どういうものかな?
メグミ 法とは、自然に巡るもの、自然の恵みなのよ。
サトミ 因と果が偏る、業って、どういうものかな?
メグミ 業とは、自我に廻るもの、自我の望みなのよ。
サトミ 法を重んじて、業を軽んじると、どうなるの?
メグミ 業のない法なんて、望まれない恵みなのよ。
サトミ じゃ、自然に巡っても、自我に廻らないの?
メグミ そうよ、偏りが消えると、望みが失われるよ。
サトミ 業を重んじて、法を軽んじると、どうなるの?
メグミ 法のない業なんて、恵まれない望みなのよ。
サトミ じゃ、自我に廻っても、自然に巡らないの?
メグミ そうよ、偏りが過ぎると、恵みが失われるよ。
サトミ 法だけは、巡り過ぎて、恩みを損っていき、
    業ばかりは、廻り続けず、恵みを害っていく?
メグミ そうよ、法と業、その両方が、必要になるの。
サトミ じゃ、業を介しながら、法を解していくの?
メグミ うふっ、業を超えながら、法を越えていくの。
サトミ ……………………!!

コメントを残す

入力エリアすべてが必須項目です。メールアドレスが公開されることはありません。