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物語編

第二章 第十七話 対話編

CASE 法治 の裏に 徳治

 

マナミ 法で治める、法治って、どういうものなの?
マサシ 法治とは、法律を持って、欲を治めることさ。
マナミ 悪人に、法を説き示し、欲の衝突を抑えるの?
マサシ うん、法を守らない事に、罰を与えることで、
    法を守る方が、得と教えて、欲を圧えるのさ。
マナミ 欲を充たすため、法を示すと、どうなるの?
マサシ 法は名ばかり、その実態は、無法の世になる。
マナミ 徳で治める、徳治って、どういうものなの?
マサシ 徳治とは、仁徳を以って、欲を治めることさ。
マナミ 善人に、徳を解き示し、欲の衝突を超えるの?
マサシ うん、徳を重んじる事に、誉を授けることで、
    徳を培う方が、徳と教えて、欲を越えるのさ。
マナミ 欲を満たすため、徳を示すと、どうなるの?
マサシ 徳は名ばかり、その実態は、不徳の世になる。
マナミ 法治でも、徳治でも、欲を治めているのね。
マサシ 最善を懸け、欲と欲が争う事が、最悪なのさ。
    だから、更に良い事を用いて、欲を御すんだ。
マナミ それって、欲を以って、欲を制するってこと?
マサシ そうさ、良くを持つほど、良く治められるよ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 法治 の先に 徳治

 

サトミ あのね、人々を育てるには、どうするのかな?
メグミ うん、悪人と善人に分け、段階的に育てるの。
サトミ 悪を行って、人を害する者は、どうするの?
メグミ 悪い者は、善を布き詰める、法で治めるのよ。
サトミ 善を為して、人を利する者は、どうするの?
メグミ 善い者は、悪を抱き参らす、徳で治めるのよ。
サトミ 法治と徳治、どのように、使い分けるのかな?
メグミ いつも、自らに対して、厳しく法を守って、
    いつでも、周りに対して、優しく愛で護るの。
サトミ う~ん、自分に厳しく、他人に優しくかあ。
    それだと、自分ばかりが、損してしまうよね。
メグミ 確かに、そう思う人は、法で治めるしかない。
    即ち、善には善を報いて、悪には悪を酬いる。
サトミ たとえ、自分に厳しく、他人に優しくしても、
    損でなく、徳と思う人が、徳で治まるのかな?
メグミ うん、善には徳を報い、悪には善を酬いる。
    それが、出来る人だけが、徳を修めるわけね。
サトミ でも、それは善人にとって、本当に得かなあ?
メグミ うふっ、そう考える人は、徳で治まらないよ。
サトミ ……………………

 


 

CASE 法治 という 徳治

 

サトシ 世の人は、どのように、治めるべきなのかな?
マサシ 全体は、法で治めて、善を突き詰めさせて、
    個別には、徳で治めて、悪を受け容れさせる。
サトシ 全体として、法で治めるのは、どうしてかな?
マサシ 何よりも、原則を守るため、多数派を治める。
    法を外れる、少数の者は、法で切り捨てるよ。
サトシ 例外に拘ると、多数の派は、育てられないの?
マサシ 法を説き、優勢の型から、大事に収めるのさ。
サトシ 個別にして、徳で治めるのは、どうしてかな?
マサシ その次は、例外を護るため、少数派を治める。
    法を外れた、少数の者を、徳で受け容れるよ。
サトシ 原則に拘ると、少数の派は、育てられないの?
マサシ 法を解き、劣勢の方まで、大切に納めるのさ。
サトシ 法で育った、多数の善人が、徳を修めるため、
    法で切られた、少数の悪人を、育てる仕組み?
マサシ 法治の上に、徳治を置くと、上手く回るのさ。
サトシ なるほど、突き詰めたら、良く分かってきた。
マサシ でもね、突き詰めただけは、法を修めただけ。
    その次は、受け容れることで、徳を修めなよ。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 徳治 という 法治

 

サトシ 徳を重んじ、法を軽んじると、どうなるかな?
アツシ 空虚たる、法のない徳など、空ろな器だろう。
    自ら修めず、他に治めさせる、空け者になる。
サトシ 徳だけで、治まらないのは、どうしてかな?
アツシ 悲しい事に、徳で治まるのは、善人ばかりだ。
    徳を装う悪は、善を侮って、欲に堕ちていく。
サトシ 法を重んじ、徳を軽んじると、どうなるかな?
アツシ 狭量たる、徳のない法など、細かい目だろう。
    他を捕えて、自らを捉えない、除け者になる。
サトシ 法だけで、治まらないのは、どうしてかな?
アツシ 哀しい事に、法で治まるのは、悪人ばかりだ。
    法に拘る善は、悪を憎んで、魔に落ちていく。
サトシ つまり、善人に至るため、法が必要であり、
    その結果、善人に到ったら、法が不要になる。
アツシ 一方で、悪人の前で、法を破ることはなく、
    自ずから、厳しく守り、罪を優しく許すんだ。
サトシ それこそが、真の人たる、真人ということか。
    これこそ、真の法たる、真理ということだね。
アツシ しかし、この教えに拘る、必要はないからな。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 徳治なき法治 と 法治なき徳治

 

サトミ 法治と徳治、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 法で治める、法治って、どういうものかな?
メグミ 法治とは、原則を収めて、多数を治めるのよ。
サトミ 徳で治める、徳治って、どういうものかな?
メグミ 徳治とは、例外を納めて、少数を治めるのよ。
サトミ 法治を望み、徳治に臨まないと、どうなるの?
メグミ 徳治なき法治なんて、唯の苛政に過ぎないよ。
サトミ じゃ、原則を収めても、例外を納めないの?
メグミ そうよ、少数が治まらず、多数を危めるのよ。
サトミ 徳治を望み、法治に臨まないと、どうなるの?
メグミ 法治なき徳治なんて、只の放置に過ぎないよ。
サトミ じゃ、例外を納めても、原則を収めないの?
メグミ そうよ、多数が治まらず、少数を危めるのよ。
サトミ 法治だけは、厳しく過ぎて、却って危うく、
    徳治ばかりは、優しく過ぎて、却って危うい。
メグミ うん、法治と徳治、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、法治を究め、徳治を極めていくの?
メグミ そうなの、法治を超え、徳治を越えていくの。
サトミ ……………………!!

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