第二章 第十八話 対話編
CASE 治世 の裏に 乱世
マナミ 優しい時代、治世って、どういうものなの?
マサシ 治世とは、文をして、世を治める時のことさ。
マナミ 文を以って、世の中を治めると、どうなるの?
マサシ 芸に依り、欲と欲が分かれて、文化が栄える。
マナミ 文化が盛り、価値が多くなると、どうなるの?
マサシ 数が増えると、一つ当たりの、価値が下がる。
マナミ 厳しい時代、乱世って、どういうものなの?
マサシ 乱世とは、武をして、乱を収める時のことさ。
マナミ 武を持って、世の中を収めると、どうなるの?
マサシ 戦に拠り、欲と欲が合わさり、文化が衰える。
マナミ 文化が亡び、価値が寡くなると、どうなるの?
マサシ 数が減るほど、一つ当たりの、価値が上がる。
マナミ つまり、価値が少ないと、増やそうとして、
その結果、価値が下がって、乱世に対かうの?
マサシ そうさ、価値が多いほど、減らそうとして、
その結果、価値が上がって、治世に向かうよ。
マナミ 自らの、価値を信じれず、他に勝って確める。
そういう、人の弱さが、乱世に臨ませるのね。
マサシ まさに、これ以上の解は、治世に望めないよ。
マナミ ……………………
CASE 治世 の先に 乱世
サトミ 太平の世代、治世って、どういうものかな?
メグミ 治世では、条件が優しく、個を重んじる時よ。
サトミ 平時に、個を捕えていると、全を捉えないの?
メグミ そうだよ、全が侮られて、和が蔑まれるのよ。
サトミ 差に捕われ、和を辱めると、どうなるのかな?
メグミ 欲に憑かれて、徳が摘まれて、乱世になるよ。
サトミ 戦乱の世代、乱世って、どういうものかな?
メグミ 乱世では、条件が厳しく、全を重んじる刻よ。
サトミ 戦時に、全を捕えていると、個を捉えないの?
メグミ そうだよ、個が侮られて、差が蔑まれるのよ。
サトミ 和に囚われ、差を辱めると、どうなるのかな?
メグミ 欲に疲かれて、徳が積まれて、治世になるよ。
サトミ 治世は、積んだ徳を、欲に変える時であり、
乱世とは、詰んだ欲を、徳に換える代なのね。
メグミ 治世は、欲を持って、分化を望む時であり、
乱世とは、徳を以って、統合に臨む代なのよ。
サトミ そっか、欲を持って、治世と乱世を重ねて、
最終的に、徳を以って、乱世と治世を越える。
メグミ うふっ、そこまで悟ると、徳が積めた証なの。
サトミ ……………………!!
CASE 治世 という 乱世
サトシ 才を高める、治世って、どういうものかな?
アツシ 治世とは、量に臨むより、質を望む時代だな。
サトシ 太平の世に、文化が興って、才が研かれるの?
アツシ 戦争の時、打ち壊した大地を、彩り直すんだ。
サトシ 欲を持って、質を高め合い、天に届かせるの?
アツシ 何処まで、高められるか、それは欲の深さだ。
サトシ 器を広げる、乱世って、どういうものかな?
アツシ 乱世とは、質を望むより、量に臨む時代だな。
サトシ 戦乱の世に、武力を奮って、器が磨かれるの?
アツシ 平和の時、築き上げた文明を、打ち壊すんだ。
サトシ 徳を以って、量を抱え込み、地を平らげるの?
アツシ 何所まで、広げられるか、それは徳の高さだ。
サトシ つまり、欲が深くなるほど、質は高くなるし、
更に、徳が高くなるほど、量は多くなるのか。
アツシ そうだ、欲を分けなければ、文化は興らない。
更に、徳に合せなければ、戦乱は収まらない。
サトシ そっか、治世と乱世を、何度も繰り返して、
欲と徳を、研磨するのが、時代の仕組なんだ。
アツシ そうだ、型を悟ったら、その質と量を磨けよ。
サトシ ……………………!!
CASE 乱世 という 治世
サトシ 分化を望む、治世って、どういうものかな?
マサシ 治世とは、徳に臨むより、欲を望む時なのさ。
サトシ 太平の時は、徳が溶かれて、欲に分かれるの?
マサシ 欲と欲が別れ、最も良い、欲を探し求めるよ。
サトシ 同化に臨む、乱世って、どういうものかな?
マサシ 乱世とは、欲を望むより、徳に臨む刻なのさ。
サトシ 戦乱の時は、欲が解かれて、徳に合わさるの?
マサシ 欲と欲が戦い、最も強い、欲を受け容れるよ。
サトシ 世の人々の、徳が小さいと、どうなるのかな?
マサシ 器が狭いから、楽にも苦にも、耐えられない。
サトシ 治世と乱世、共に短くなり、経験し難くなる?
マサシ うん、だから、欲が浅くなり、徳は低くなる。
サトシ 世の人々の、徳が大きいと、どうなるのかな?
マサシ 器が広いから、苦にも楽にも、堪えられるよ。
サトシ 乱世と治世、共に長くなり、経験し易くなる?
マサシ うん、だから、欲が深くなり、徳は高くなる。
サトシ う~ん、欲を深めるために、徳を高めるのか。
いや、徳を高めるために、欲を深めるのかな。
マサシ 両方さ、こうして経験して、智を磨くためさ。
サトシ ……………………!!
CASE 乱世なき治世 と 治世なき乱世
サトミ 治世と乱世、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 太平の時代、治世って、どういうものかな?
メグミ 治世とは、欲が分かれる、文化を称える時よ。
サトミ 戦乱の時代、乱世って、どういうものかな?
メグミ 乱世とは、欲が合わさる、武化が栄える時よ。
サトミ 治世を望み、乱世に臨まないと、どうなるの?
メグミ 乱世なき治世なんて、唯の破滅に過ぎないよ。
サトミ じゃ、欲が分かれても、徳に合さらないの?
メグミ そうよ、欲が増えるけど、得が減っていくよ。
サトミ 乱世を望み、治世に臨まないと、どうなるの?
メグミ 治世なき乱世なんて、只の破壊に過ぎないよ。
サトミ じゃ、徳に合わせても、欲が分かれないの?
メグミ そうよ、空が現れるけど、色が消えていくよ。
サトミ 治世だけでは、欲が増えて、勝ちを損うし、
乱世ばかりでは、徳が殖えて、全てを害うの?
メグミ うん、治世と乱世、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、乱世を負い、治世を追っていくの?
メグミ そうなの、乱世に臨み、治世を望んでいくの。
サトミ ……………………!!