第二章 第十九話 対話編
CASE 文 の裏に 武
マナミ 分化を司る、文化って、どういうものなの?
マサシ 文化とは、治世の時代に、差を究めることさ。
マナミ 文を持って、太平の時世を、豊かにするの?
マサシ そうさ、質を望み、欲と欲が分かれていくよ。
マナミ 欲と欲が、競い合い、より良い欲を認めるの?
マサシ そうさ、差を究めると、才に極められるのさ。
マナミ でも、欲が分れ過ぎたら、価値を喪わないの?
マサシ だから、欲を徳と化すこと、同化に臨むのさ。
マナミ 同化を司る、武化って、どういうものなの?
マサシ 武化とは、乱世の時代に、和を極めることさ。
マナミ 武を以って、戦乱の時世に、平らにするの?
マサシ そうさ、量に臨み、欲と欲を合わせていくよ。
マナミ 欲と欲が、戦い合い、より強い欲を認めるの?
マサシ そうさ、和を極めると、器に究められるのさ。
マナミ でも、欲を合せ過ぎたら、価値を失わないの?
マサシ だから、徳を欲と化すこと、分化を望むのさ。
マナミ じゃ、差が増え過ぎても、価値が下がるし、
反対に、差が減り過ぎても、価値が無くなる?
マサシ うん、自我から眺めると、いつも乱世なのさ。
マナミ ……………………!!
CASE 文 の先に 武
マナミ 交互に、治世と乱世は、繰り返しているの。
人の器が、大きくなると、周期が長くなるの。
サトミ 空きが有る、治世の時には、どうなるわけ?
マナミ 世の人が、差を認め合い、欲が分れて行くの。
サトミ 空きが無い、乱世の代には、どうなるわけ?
マナミ 世の人が、差を責め合い、欲を合せて行くの。
サトミ 治世は、欲が分化する、文化が表われるし、
乱世には、欲が同化する、武化が現われるの?
マナミ 太平の時は、欲を高くする、文が研かれて、
戦乱の代には、欲を広くする、武が磨かれる。
サトミ 文を通して、才を研ければ、武は要らないわ。
マナミ 治世には、知を使っても、法を説けるけど、
乱世は、力を遣わなければ、理を示せないの。
サトミ 嘘よ、文化が未熟だから、武力が必要なのよ。
文化が、成熟するほど、戦争なんて起きない。
マナミ そもそも、完全な分化は、絶対に不可能なの。
絶対に、文が生まれるとき、武が埋まれるの。
サトミ もう、あんたと話しても、埒が開かないわね。
マナミ 現実で、実力を以って、理を示すしかないね。
サトミ ……………………
CASE 文 という 武
サトシ 知と化する、文化って、どういうものかな?
アツシ 文化とは、個を重んじて、差を究めることだ。
サトシ 公を顧みず、個に返るほど、どうなるのかな?
アツシ 欲に憑かれて、思いのままに、我が創られる。
サトシ 力と化する、武化って、どういうものかな?
アツシ 武化とは、公を重んじて、和を極めることだ。
サトシ 個を省みず、公に還るほど、どうなるのかな?
アツシ 欲に疲かれて、在りのままに、我が壊される。
サトシ 文化が興り、差が生まれて、我を創るから、
武化が起こり、和を強いられ、我が壊される。
アツシ そうだ、我の創造と破壊を、繰り返すわけだ。
サトシ それなら、個を解さない、文化なんてないの?
アツシ 公のために、知を流すなら、武化に過ぎない。
サトシ それなら、公を介さない、武化なんてないの?
アツシ 個のために、力を交すなら、文化に過ぎない。
サトシ 個が使うなら、公が遣うべき、ではないし、
公に仕えるなら、個に使うべき、ではないか。
アツシ 即ち、知は個に授けて、力は公に与えるべき。
これを、君に教えたのは、知を授けるためだ。
サトシ ……………………!!
CASE 武 という 文
サトシ 文を用いる、文化って、どういうものかな?
マサシ 文化とは、治世に於いて、欲が分れることさ。
サトシ 条件が緩い、平和な時には、どうなるのかな?
マサシ 太平の時代は、寛容に成って、欲が分化する。
サトシ 欲が別れて、より良い欲を、突き詰めるの?
マサシ 理想を持って、細やかな器に、取り出される。
サトシ 劣るものが、切り捨てられると、どうなるの?
マサシ 異化して、突き付けられて、戦乱の世になる。
サトシ 武を用いる、武化って、どういうものかな?
マサシ 武化とは、乱世に於いて、欲を合せることさ。
サトシ 条件が緊い、戦争の時には、どうなるのかな?
マサシ 戦乱の時代は、厳格に為って、欲を統合する。
サトシ 欲が戦って、より良い欲を、受け容れるの?
マサシ 現実を以って、大いなる器に、取り込まれる。
サトシ 弱いものが、飲み込まれるほど、どうなるの?
マサシ 同化して、受け容れられて、太平の世になる。
サトシ 寛容な世は、欲が膨れて、厳格に対かうし、
厳格なる代は、欲が萎んで、寛容に向かうの?
マサシ 寧ろ、自然は寛容なのに、自我が厳格なのさ。
サトシ ……………………!!
CASE 武のない文 と 文のない武
サトミ 文化と武化、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 好きを望む、文化って、どういうものなの?
メグミ 文化とは、徳が溶かれて、欲に変えることよ。
サトミ 嫌いに臨む、武化って、どういうものなの?
メグミ 武化とは、欲が解かれて、徳に換えることよ。
サトミ 文化を望み、武化に臨まないと、どうなるの?
メグミ 武化なき文化なんて、好事家に過ぎないのよ。
サトミ じゃ、好きを望んでも、嫌いに臨まないの?
メグミ でもね、好きに飽きると、嫌いに変わるのよ。
サトミ 武化を望み、文化に臨まないと、どうなるの?
メグミ 文化なき武化なんて、好戦家に過ぎないのよ。
サトミ じゃ、嫌いに臨んでも、好きを望まないの?
メグミ でもね、嫌いに厭きると、好きに換わるのよ。
サトミ 文化だけは、好きなことが、嫌いになるし、
武化ばかりは、嫌いなことが、好きになるの?
メグミ うん、文化と武化、その両方が、必要なのよ。
サトミ そっか、武化を負い、文化を追っていくの?
メグミ そうなの、武化に臨み、文化を望んでいくの。
サトミ ……………………!!